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国際開発論&模擬国際会議

 

国際開発工学科で開講されている「国際開発論」では毎年、多彩なゲスト講師をお招きして、国際開発の現場の話を具体的かつ生の声で聴くことを目的としている。基本的なパターンとして、1回を講義、そしてもう1回を講師の先生から提示されたグループ課題について、学生たちがグループ毎に議論をして、発表を行う形式となっている。

世界銀行東京事務所の上級防災管理官である石渡幹夫先生、国際協力機構(JICA)の田中耕太郎先生、我が国を代表する開発コンサルタント企業である日本工営より長沼先生、国際的NGOであるワールドビジョンジャパンの木内真理子先生など、どの講師の方も本務において多忙を極める中、本講義に協力してくださっていることに毎回感謝の念を強く持っている。各講師の先生方の講義は、毎回学生たちに刺激を与えてくださっている。

その中でも、外務省中南米局長である山田彰先生による2回の講義(5月15日および5月24日)は、第1回目の講義ののち、山田先生が実際の外交の現場で多数の国際会議や交渉を担当されてきた経験をもとに、「模擬国際会議」を行うことになった。昨年度に続き、今年度も2回目の開催である。普段話を聞くことが難しい、外務省高官による講義と模擬国際会議は非常に有益な機会となった。

写真:2012年度 国際開発論 受講者および山田彰先生(外務省 中南米局長)

時事的に今年は1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された国連開発環境会議(リオ・サミット)から20年後に再びブラジルで開催される、「リオ+20」の国際会議を意識して、模擬国際会議の議題が設定された。そのテーマは「21世紀における環境と開発のありかた、国際社会が進むべき道とは」という短時間で扱うには少々難しテーマでしたが、まさに時事を踏まえて議題であった。

模擬国際会議の議長は山田先生が務め、全体の進め方は以下の通りであった。発言を希望する場合には、自分の前にある国名のプレート(今回は紙製の筒)を立てるといった実際の外交における国際会議の慣習も踏まえて、会議は進められた。

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1.グループ分け (日本、エチオピア(アフリカ、後発開発途上国の代表として)、EU、中国、アメリカ)

2.議論の進行:各グループは、下記の通り4分以内×2回の意見発表機会が与えられる。その他に、議長からの意見発表を求められることもあり、議長の許可を得て議論の途中に他グループの意見に対する反論・意見を述べることもできる。

(1)第1回の意見発表(4分以内):持続可能な開発の促進と貧困根絶のために自国(グループ)が貢献できること、行うべきことは何か。また、他の国々、国際社会ができること、行うべきことは何か。 各グループは自国(グループ)の立場を踏まえつつも、自国の狭い利益だけではなく、国際社会全体の利益は何かという観点から発表する。

(2)第2回の意見発表(4分以内):21世紀の国際社会における持続可能な開発とはどうあるべきか、望ましい地球の将来像について,自国の考え方を述べつつ、国際社会全体としての合意形成を目指してください。(賛否どちらでも良いが、『グリーン経済』というキーワードを入れること)

(3)各グループの発言に対するコメント(2分以内): 2回の各グループの発表を聞いて、コメントを行ってください。(どのグループに対するコメントでも良いし、総合的なコメントでも良い。自国の立場を踏まえつつも、国際社会全体の利益を考える、という視点を引続き持って,コメントしてください。

(4)議長による議論のまとめ:模擬会議終了

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事前の準備を各グループに課していたものの、やはり実際に(擬似的とはいえ)会議の場において、議長の指示を理解しながら意見を述べることのむずかしさや、限られた時間において的確に相手にメッセージを伝えるむずかしさなどを学生諸君は体感的に感じていたようであった。

 

写真2 模擬国際会議における発表の様子 その1

写真3 模擬国際会議における発表の様子 その2

(報告:本講義担当、阿部)