バングラデシュからのレポート(澤村君・第二弾)

現在、バングラデシュでインターンシップを行っている本研究室所属の澤村 新之介君から活動レポート第二弾が届きましたので、ご紹介します。

*************************

こんにちは、バングラデシュの澤村です。

こちらの食べ物にも慣れとくに問題なく元気にやっています。

以前の報告はチッタゴン上下水道公社と保健衛生・医療系のNGOを訪問した際の活動や感想についてでしたが、その後私はバングラデシュ農村部で活動するCODECというローカルなNGOとチッタゴン市役所を訪問しました。

IMG_0965

写真:CODEC(NGO)プロジェクトサイトでCBOのメンバーの方との写真

CODECというNGOでは少数民族の暮らす農村地域を対象としたプロジェクトについて、下調べをした上で5日間対象地域へ行き農村の見学や受益者とプロジェクトスタッフへの聞き取りをおこないました。

プロジェクトの内容は各地域にCBOを形成した上でCBOへの資金的な援助をおこないつつ、ほかに換金作物の栽培、家畜の飼育、帳簿付けや基本的な人権の啓蒙のための研修や受益者自身が新たに収益事業をおこなう事業モデルへのアドバイスなどでした。

受益者と通訳を通して話を聞く中で、急激な人口増加や物価上昇などが起こるにともなって今までは稲作や自家消費のためだけの家畜の飼育で食べていけていた生活が変わり、肥料や技術が必要とされる換金作物の栽培や今までやっていなかったような収益事業の展開が必要とされているように思えました。

また、このプロジェクト自体もう5年間もおこなわれていながらCBOのミーティング等には必ずプロジェクトスタッフが参加していたり毎年資金援助を受けていたりしていることからプロジェクト終了後も住民自身がCBOの必要性を認識し機能するCBOが果たして続くのか疑問に感じました。

普段はずっと都市部にしかいないため、都市部とは大きく異なる農村地域の様子を知ることができ非常によかったです。

IMG_0986

写真:農村部の田園風景

チッタゴン市役所は今も訪問中なのですが、各部署を訪れそれぞれの役割、運営するためのシステム、現状などを学んでいるところです。

チッタゴン市役所にはJICAの有償資金協力でおこなわれている包括的中核都市行政強化事業というインフラ整備とセットでガバナンス能力の向上を目的とする事業でPADECOの方が来られたり、JICAの無償資金協力と技術協力のセットでおこなわれている廃棄物管理能力強化事業の事前準備調査で八千代エンジニアリングの方が来られたりし、実際のお仕事の様子を見学したりお話する機会がありました。

どの方も親切にお仕事の内容など話してくださり、実際にチッタゴン市役所で動いている事業を知ることができとても良き経験でした。

10633489_10205530567933205_6536898070641469084_o

写真:チッタゴン市役所で担当の方、JICA事業で来られた開発コンサルタントの方、大学での研究のために来たデンマークの学生との写真

チッタゴン市で様々な機関を訪問しチッタゴン市の様子を少しずつ理解していく中で、上下水道に限らず交通インフラや廃棄物管理など都市において政府しかカバーできないような分野の未熟さが急激に増加する人口を抱えるチッタゴン市において最も致命的である、このまま都市基盤の整備が進まないまま人口増加や企業の経済活動が進めば戦後の日本のように公害が起きたりと、都市のキャパシティを大きく超えた人々の活動によって環境や経済活動に大きな損害を与えるのではないかと­感じていました。

IMG_0920

写真:チッタゴン市内のスラム

これは行き過ぎた表現だとは思いますが、NGOや民間企業などの非政府機関がどれだけ素晴らしい活動をしても政府機関の脆弱さを克服することなしにはどうしても解決することができないような問題が多くあり、途上国といわれる国は政府機関の能力が脆弱であるからこそ途上国といわれるような状態にあるのではないかと思うほどに政府の活動の重要さをこの3ヶ月間のチッタゴンでの活動を通して感じています(もちろんNGO等の活動が無駄であるとかそういったことは少しも思っていないですし、都市部でも医療セクターや教育セクター等でおこなわれている素晴らしい活動を実際にたくさん見ました)。

(過密な都市であることもこのように感じる要因であり、他の国、他の地域ではまた大きくちがうのだと思いますが…)

そういった感じ方をした私にとってチッタゴン市役所での活動は非常に興味深く、まだまだわからないことが多くあるためこれからも当分の間ここで活動したいと思っております。

(阿部研究室所属 B3 澤村新之介)