当研究室に関心を持たれた方(受験生)へ

阿部研究室では、学生の自主性が重んじられています。自らの問いを見つけ、仮説を立て、必要な情報やデータを収集し、適切な分析手法で問いに対する答えを導き出すことが全ての研究室のメンバーに期待されています。同時に、研究室というグループを構成していますので、指導教員である阿部を含む全てのメンバーが、ゼミなどを機会あるいは日常的な会話を通じて、意見交換や討論を行うことも重要であり、そのような機会を設けています。

最近の研究テーマを見てみると、開発途上国の文脈において、水や食料の家庭における安全保障の評価に取り組む学生が複数います。また、シェアリングエコノミーの進展に関連して、廃棄物削減という観点も考慮しつつ、衣服のProduct-Service System (PPS)に対する利用者・市民の意識調査や利用実態の解明に取り組んでいる学生もいます。さらには、環境問題や社会問題に取り組むNGO/NPOの事業継承に関心をもって研究を進めている学生もいます。高齢化社会に関連するテーマに取り組む学生もおります。過去の卒論・修論・博論の題目については、こちらをご参照ください。

指導教員としては、「人々を中心に据えて、社会と環境の持続性を実現するためにどうすればよい」という傘となるような広範なテーマ範囲を設け、その範囲の中で、”people-centered”な視点や発想にこだわりつつ、学生各人が強い意欲をもって研究に取り組むことが大切と考えているため、各自の研究テーマ設定の都度、私阿部との間ですり合わせを行っています。阿部個人としては「水、食料、再生可能エネルギー、暮らし、時間」に着目しつつ、社会と環境の持続性に資する研究を引き続き実施できればと思っています。

「何かを教えてもらいたい」という受け身タイプの方は当研究室におそらくマッチしませんが、「いろいろ興味があり、具体的には〇〇を自分で深掘りして研究したい」という方には適した場所かもしれません。

なお、研究室では統計的検定や多変量解析による分析を主に行います。質的調査や分析を否定するものではもちろんありませんが、質的な情報をどのように量的な分析に置き換えるか、という点にも拘っています。また、経済学的着眼点や発想も重視しており、その意味で、人々の認知構造、行動様式、そしてそうした認知構造や行動様式を規定する情報・制度・インセンティブにもしばしば焦点を当てています。人々の行動変容(ミクロ的視点)や再エネや蓄電システムなどの技術の社会的受容性(マクロ的視点)に着目していると説明することもできると思います。

研究室にご関心のある方は阿部までご連絡いただければ幸いです。社会人として博士課程への入学に関心のある方からのご相談にも応じます。

最後に、英語の能力についてです。その能力が高いことは望ましく、英文のジャーナルを読んだり、国際機関のレポートを読んだりする際に大いに役に立つことでしょう。また、研究室のメンバー全員が集まるゼミでは、基本的に英語を使用していますので、英語の能力が重要であることも事実です。しかし、それ以上に大切なことは、日本語の能力です(特に作文能力です)。英語能力の向上に取り組む強い意欲があり、そのための行動が伴えば、現状の英語の能力は深刻な障害にはならないと考えています。