Reading Report – Economic Policy #1

書名:
経済政策の政治経済学(The Making of Economic Policy)

筆者: Avinash K.Dixit

報告者: Lu Gao (M2)

第1章 / 政治過程としての経済政策決定

概要

1.1 政策分析への規範的アプローチ

多くの経済政策分析の理論や実践においては政策決定と執行は管理工学的な技術問題であると考えられている。理論についてはバーグソン-サミュエルソン型社会的厚生関数を評価基準として用いることが多い。この関数では、当初、資源制約と技術制約の下で最大化されていたため、「最適解」として位置づけられる。厚生経済の第二定理は、賦与の資源配分が適切であれば、完全競争市場の下で、最適解が得られることを証明している。

この考えに基づけば、経済における政府の役割は、市場の失敗を救済する。しかし、これは政府が社会的厚生を最大化させることを仮定しただけであり、規範的なものに止まっている。政策分析はしばらくして修正され、政府活動に追加的な制約が課されるようになった。たとえば、グリーンワルドの研究は不完全な情報の下での市場均衡は一般的にパレート効率的ではなく、同様の情報制約下にある政府はより良い結果をもたらすことができるという結論を導いている。

これらの研究は、一つの社会的厚生最大化原則を前提としているため、経済政策決定の重要な局面である政治過程を考慮に入れていない。スティグリッツは市場の失敗があるように「政府の失敗」もあり、それは市場の失敗と同様に情報の問題が原因となっていることが多く、グリーンワルド-スティグリッツ定理を基礎とする有効な積極的政策介入の効果は現れないかもしれないと注意を促している。例として、アメリカでは輸入競争に悩まされている産業で一つの職を守るために、消費者にかかる負担は多くの場合、従業員の給与の倍数にあたる数十万ドルに達する。クルーガーのように、この現象を観察した人は、これらの結果の裏に動いている力は政治であるということに気づいた。経済政策分析における政治過程がより幅広く認知されることが緊急に必要とされている。

感想

政府は今後も経済に介入する権利を持ち続け、その力を行使し続けるであろうと考え。したがって、研究者として政策を提言するとき、利益最大化だけではなく、政府の立場に立って最適な提言するのも一番重要だと考えている。