EU climate and energy policy towards 2030 and 2050 @武蔵野大学

2014年7月21日に武蔵野大学有明キャンパスにて開催された環境研究所の特別公開講義に参加してまいりました。

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左:有明ビックサイト、右:武蔵野大学有明キャンパス

講義では、EU経済社会評議会(European Economic and Social Committee: http://www.eesc.europa.eu/)において都市、エネルギー、情報、運輸部門のユニット長を務めているDr. Eric PonthieuによってEU climate and energy policies towards 2030 and 2050と題した発表が行われました。

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講義は2007年に欧州委員会によって採択された2020年までに達成する目標である、1990年比で20%のCO2排出量削減、再生可能エネルギーが最終消費エネルギーに占める割合を20%まで増大、省エネルギー効率20%、といった20/20/20について、また現在の進捗状況について語られると共に、2011年に同じく欧州委員会にて採択された”Energy Roadmap 2050”の概要及び主要な内容についてが発表されました。さらに、時間内にすべてが発表されることは残念ながらありませんでしたが、2010年の”Analysis of options to move beyond 20% greenhouse gas emission reductions and assessing the risk of carbon leakage”、2013年に採択されたGreen paper ”A 2030 framework for climate and energy policies”についてまとめられていました。

興味深かったのはEnergy Roadmap 2050からの10 lessonsとして提示された、”電気料金は2030年までは上昇傾向にあり、その後一定に推移する”、”家庭におけるエネルギー支出は増加する”という点です。特に家庭のエネルギー支出が増大するとの事ですが、電気料金の上昇に伴い家庭用太陽光発電の需要が高まればエネルギーにかかる支出は長い目で見れば現時点での支出と比較してもそこまで増加することはないように感じるのですが、太陽光パネルの製造コストが今後もずっと減少するのではなく、製造に必要なエネルギーであるでんりょくの価格高騰による製造コストの増大等も考慮されているからか、という理由を想像しました。これからEnergy Roadmapを読んで確認しようと思います。

もう一点印象深かったものが、如何にEU各国の足並みを揃えるかということです。特に再生可能エネルギーの普及が進み、原子力発電を今後閉じるという選択をしたドイツは現在EUでも最も電気料金が高く、依然として上昇傾向にあるのですが、これらの電気料金の違いによって産業が遅れを取り、さらにその結果として定短所社会実現に向けたインセンティブが低くなってしまうのではないかという懸念があり、この点をどのように対処するかを今後は考えなければならないとのことでした。

M2 片谷

”Energy Roadmap 2050”(http://ec.europa.eu/energy/energy2020/roadmap/index_en.htm)
”Analysis of options to move beyond 20% greenhouse gas emission reductions and assessing the risk of carbon leakage”(http://eur-lex.europa.eu/legal-content/FR/TXT/?uri=CELEX:52010DC0265)
”A 2030 framework for climate and energy policies”(http://ec.europa.eu/energy/green_paper_2030_en.htm)