第1回全体ゼミ(3Q) 2020年10月13日

本日2020年10月13日、第3クォーター最初のgeneral seminarが、zoomを通して開かれました。私(水上)は今回MCとして任命された為、報告書の執筆をいたします。

はじめにWork-in-progress presentationsということで、研究の進捗状況について、風間さんと伊藤さんからの発表がありました。

風間さんのトピックは、社会関係資本についてです。このテーマは、「感情」や「well-being」といったキーワードと強く繋がっています。風間さんは主に、このトピックを「インターネット」や「非遠隔コミュニケーション」と結びつけ、研究を進めています。今日、コロナウイルスの影響によって、コミュニティーやコミュニケーションについて議論することの重要性は高まり続けています。コミュニティーとは、well-beingsにとって無視できない要素であることは、多く言われていますが、これはまた社会的包摂政策とも関わってくるものです。従いまして、このテーマは近い将来、さらに言及されていくのではないかと感じます。

次に伊藤さんのトピックは、科学と社会の繋がりについてでした。伊藤さんはまだ阿部研究室生ではないのですが、私たちの研究活動に関心を持ってくださり、zoomという形式も手伝って、今回ゲストとして参加していただきました(online形式の利点を日々実感いたします)。伊藤さんは現在アメリカのタフツ大学の在正中で、応用物理学と国際経済学のダブルメジャーという意欲的な方です。そういった背景もあり、科学と社会に対する伊藤さんの視点は新鮮に写りました。例えば、エネルギーについて考える際、あるエネルギーの利点は、そのためのコストと常に晒される、という思考などです。また、伊藤さん曰く、科学は社会にとって有益になるとは限らないということです。今回私は新たに、アメリカの学生は専門科目を複数持つことになるという仕組みも知りました。一見、日本の大学にとっては少々馴染みがない考えですが、これは全ての学生にとって筋の通ったシステムであるはずです。どのような科目を専攻していても、私たちはある問題に対し、様々な角度から考えるべきなのです。

2名の発表が終わり、私たちはbonding sessionを行いました。このsessionは、general seminar内の新たな試みとして始まったものです。Session内では、あるテーマに沿って、メンバー間でそれぞれの考えや経験を共有します。プレゼンテーションとは異なるので、あまりかしこまらず、メンバー同士の距離がより縮まるようなテーマで行います。今回は私の案により「人生やり直しボタンがあったらどうするか」という題で行いました。このボタンを押せば、過去のある時点に戻り、人生をやり直すことができます。

Illustrated by 水上

少し重めのトピックで話し合ってみたいと思い、このようなテーマにしてみました。Sessionが始まる前まで私は、答えはある程度二分されると考えていました。ところが(驚くべきことに)、全員の答えはNOでした。つまり、誰もやり直しボタンを押さないというのです。答えの理由についても、皆さんはだいたい同じ旨を述べていました。「後悔だったり、嫌な経験だったりが、今の自分を作っている。」「何度そのボタンを押しても、結果が変わることはないだろう。」人生に対する私たちの考えは、どうやら似ているみたいです。ですが同時に私は、あることについてもう一度胸に留めなければいけないと感じました。それは、もし私たちが今とは別の状況に立たされていたら(経済的に、地域的に、世代的に、など)、どう考えるだろうか、ということです。すなわち、人々が、人生やり直しボタンを押すかどうかをはじめ、物事をどう感じるかに対して、否定することなどできないということです。自分がどのような場所に居ても、自分の考えや感性を「一般的なこと」と捉えるべきではないのです。また一方で、私はこれについて思えば思うほど、研究を進める意義を見出すことができます。

文責:水上誠也