山口訪問 その2

B4 海宝です。

山口訪問の続きです。

小水力発電の見学の合間に、僕の研究テーマである「エコツーリズム」の調査として、観光協会へのインタビューを3件行わせてもらえました。こちらで少し紹介させてください。

美祢市、周南市、山口市阿東町を訪問しましたが、どの市も強みを生かして、違った観光をしているのがとても興味深く、勉強になりました。

  • 美祢市観光協会、秋吉台地域エコツーリズム協議会

山口市の西にある美祢市は、日本有数のカルスト台地(石灰質の土壌)を持っていて、地質的に貴重とされ日本ジオパークに登録されています。右の写真は秋吉台の高原ですが、サバンナのようで日本では珍しい光景ですね。

(下・上部)の写真は秋芳洞という鍾乳洞です。天井の高さが50m!でとても広いです。このような貴重な自然があるために、もともと観光地として栄えていましたが、最近は住民が主体となって行う着地型観光にも力を入れているみたいです。

美祢市観光協会の事務局長の佐々木さんとは二時間もお話をさせてもらえました。ジオパーク認定に至るまでのお話や、認定されてからの苦労などはとても興味深いお話でした。美祢市はジオパークになっても観光客が伸び悩むという「ジオパーク難民」の状態だといいます。しかしジオパーク認定の意味は観光発展だけじゃない、住民が地域の価値に気づいて、誇れるようになればそれも一つの成果、という佐々木さんの言葉から、観光の価値は多面的であることが伺えました。

秋吉台地域エコツーリズム協議会の神田さん、事務員の山縣さんにもお話を伺えました。複数の個人ガイドさんが所属する協議会では、自然散策から化石採集まで年間で50本ほどの幅広いツアーが企画されています。ジオツアーとエコツアーは呼び名は違いますが、自然を楽しみ、かつ学べるようなツアーという点で類似点も多く、ここ秋吉台ではこれらの観光が共存し、協力し合って成長しているようです。

  • 周南市観光コンベンション協会

ここでは事務局長の山田さんにお話を伺いました。周南市は今回訪れた中で一番都市的な観光を行っていました。名前にある通りに、大会や学会の誘致などのコンベンション活動を主に行っています。こうした大きなイベントの開催は一度にたくさんの人を市に呼び込むため、期待は高いようです。こうしたイベントはだいたい市内観光もセットです。僕もシンガポールの学会に参加した時には、むしろ市内観光が半分くらいだったように思います。笑

周南市では、夜間に楽しめる観光として工場夜景ツアーやクルーズなどを提供しています。また、周南市自慢の地酒なども人気です。

観光と一言でいっても、市によって観光の切り口が異なるところが面白いです。自らの強みを一番発揮できるような観光スタイルを選ぶことが地方創生の鍵かもしれません。周南市が行うような都市型観光もこれから伸びていくのだと思います。

写真(上)は周南市の商店街です。

  • NPO阿東観光協会(山口市阿東町)

阿東町は山口市の北にある町です。山口市と言われると都会をイメージしてしまうのですが、阿東町は農業が主な地区で、赤い瓦屋根の家が点在するのどかな田園風景が印象的な町です。私たちはこちらでNPOあとう観光協会(阿東スローツーリズム協議会)の椎木さんと賀屋さんにお話を伺いました。

お話を伺うと、「スローツーリズム」は、グリーンツーリズムのような農村体験をベースにしながら、郷土料理という地域の伝統的な「食」をアピールするような観光スタイルのようです。

スローツーリズムも地域の人たちが中心になって行う観光スタイル。椎木さんが郷土料理のパンフレットを作ると、「こんな料理知らなかった」、「この料理は阿東特有なのか」と言った声もあり、阿東の文化を見つめ直す機会にもなったようです。阿東では北九州の中学生の受け入れを行っています。農家に下宿し、仕事や暮らしの体験を行うことは中学生にとって貴重な体験ですし、農家の方々にとっても楽しく、いい交流が育まれているそうです。観光の価値はお金だけじゃないと、ここでも感じさせてもらえました。

写真(上)は鳥居とその後ろの長い一本道。文化と自然のマッチした日本の伝統美を感じます。

写真(上)は徳佐駅。橋は線路のレールで作っているそうで、鉄道通にも人気なんだとか。

阿東では、親切にも寝場所まで提供していただけました。おかげで阿東に夜滞在することができ、椎木さん、賀屋さんとも夕食をご一緒させてもらえとても充実した滞在になりました。

ありがとうございます。

また是非訪れたいです。