筆者: 花房 良裕
報告者: 市村 優明 (B3)
概要
3日に起きた抗議デモを発端としたエジプトのクーデターは同国の民主化プロセスに逆行する動きとなり、民主化運動「アラブの春」により独裁政権が崩壊した周辺国にも、影響する可能性がある。チュニジアとリビアでは議会選挙が実施されたが、依然として民主主義の素地はぜい弱。共通するのは“革命後”の生活水準が改善するどころかむしろ悪化しており、新体制への不満も高まっていることだ。
チュニジアの現状
リビアの現状
国の基幹産業となる油田施設では労働者がストライキを起こし、原油生産に影響を与えている。
アラブの春
2010年末から11年にかけて、中東・北アフリカ各国で起きた民主化運動の事。チュニジアで大規模デモが起こったことが発端で、SNSサイトを通じてエジプトやリビア、イエメン、バーレーンなど周辺国に瞬く間に波及した。チュニジア、エジプト、リビアでは長期独裁政権が崩壊し、シリアでは政権と反体制派の激しい内戦が続く。
若者を中心に経済格差や政治体制への不満が高まったのが大規模デモの背景にある。エジプトやリビアでは新体制の国家運営は不安定で民主化プロセスは遅れている。
感想
民主化運動の原動力は大きくても実際には民主化プロセスが遅れていることに、民主化の難しさを感じた。単純に独裁制を打破しただけでは民主化にはつながらず、民主化してから日の浅い国々は失政により経済の低迷を引き起こし、国民の不満を募らせ結果として民主化が遅れている。
「アラブの春」により独裁政権が崩壊した国々(リビア、エジプト、チュニジア、イエメン)はこの先どのようにして民主化を進めていくべきか、アラブ世界の発展において重要な要素になってくるだろう。