[報告]報告③:ケンブリッジ経済学部セミナー

向井です。

報告その③はエネルギーから離れ、僕が滞在中にこっそり忍び込んでいた経済学部でのセミナーについてです。Michaelmas term(10月から12月)の間、一週間に2~3回ぐらいの頻度で行われていました。

http://www.econ.cam.ac.uk/seminars/index.html?period=lastterm&series=.

僕は自分の研究分野のEconometrics、Empirical microeconomicsのセミナーにいくつか参加しました。講師は外部から来ている研究者も多く、交流が活発でした。

Empirical Microeconomics Seminars:

① L. Cameron, Little emperors: behavioral impacts of china’s one-child policy, 20 Oct 2011.

中国の一人っ子政策の評価研究。本政策により、子どもが内向的になっていることを実証した。開発経済学では、それなり研究者が関心を持っている分野らしい。

② M. Baddeley, Herding in financial behavior: a behavioral and neuroeconomic analysis of individual differences, 10 Nov 2011.

個人がHerd decision(群集心理による意思決定)を行う傾向が大きいことをBrain imaging (fMRI)を用いて実証。Neuroeconomicsという、脳科学的方法を経済学的分析に用いたもの。アデンブルック病院を擁する、ケンブリッジらしい研究だと思う。「恐怖」という感情と「群衆行動」の相関を扱っているが、その恐怖の「大きさ」と行動の相関も調べると面白いのではないか、という議論が活発だった。また、Neuroeconomicsにおけるpreferenceの定義(e.g. stated preference, revealed preference)も議論されていた。

Econometrics Seminars:

③ M. Weidner, Individual and Time Effects in Nonlinear Panel Data Models with Large N T, 26 Oct 2011.

パネルデータを用いたFixed effect estimatorは大きくバイアスが生じてしまう。これはincident parameters problem (Neyman and Scott (1948), Heckman (1981) and others)として知られている。これに関して、そのバイアスを小さくするconsistent estimator を提案。ペーパーの後半ではNumerical analysisを行い、バイアスが小さくなっている様子を示していた。

④ J. Hausman, A poisson mixture model of discrete choice, 29 Nov 2011.

いろんなことを話していたが、一番のポイントはおそらくindividual heterogeneityをsemi parametric distribution を用いて表せるようにしている点だろう。また、このモデルを使って、スーパーマーケット選択に関する消費者行動の分析を行っていた。

向井

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