川俣町インターンシップ記録②【川俣町概要】

みなさん,こんにちは!石尾です.

前の記事では,私が川俣町におじゃますることになったきっかけについて書きましたが,今回は「なぜ滞在することに決めたのか」その理由について,川俣町の歴史や現状の概要についてまとめながら述べたいと思います(ですます調は消えます).

川俣町は人口15,399人(平成23年4月1日現在),阿武隈山地西斜面の丘陵地帯にあり、伊達郡南部に位置し、東は相馬郡飯舘村・双葉郡浪江町・南は二本松市、西は福島市飯野町、北は伊達市と接し、福島市の東南およそ22km、県都周辺の主要な地区拠点として存立している.詳細な統計情報等についてはこちらを見て頂きたいのですが,山に囲まれた,のどかで自然豊かな土地である.

かつては,絹織物で栄えており,「絹の町川俣」と呼ばれれ,街中の中心商店街は長さ約2kmに及び栄えていた.しかし,中国産絹製品の台頭や,バブルの崩壊等の社会環境の変化によって基幹産業であった絹織物産業は大打撃を受け,規模は大幅に縮小された.これにより町からの人口は減少の一途をたどり,平成19年には高齢化率は30%を超え,平成21年には人口は15,000人台にまで減少した(昭和30年代の町内総人口は約27,000人,昭和50年の町内総人口は21,644人).平成34年度の人口見通しは12,150人である(コーホート変化率法に基づく).

このような現状に対応するため,町は昭和44年度より「川俣町振興計画」を策定し,課題の解決に取り組んできた.平成22年度には第5次川俣町振興計画が策定された.そこでは,まちづくりの方向性として,①まちづくりへの住民参画の拡大,②環境活動の充実,③交流事業の活発化,④保健・医療・福祉の充実,⑤教育環境の充実,⑥産業の活性化,⑦中心市街地の活力・機能の向上,⑧国際理解の醸成,⑨高度情報化の推進,⑩効果的・効率的な行財政運営の推進,が掲げられた.達成目標・行動計画についても定められ,町民が一体としてことに当たろうとしていた矢先に発生したのが,先の大震災である.

東日本大震災により,川俣町は,694棟の住宅・工場・公共施設の全壊・半壊・一部損壊,さらには101ヶ所の町道の路面の亀裂や沈下などの被害を被った.特に,山木屋地区においては,原発事故に伴う放射線被ばくへの懸念から,その全域が「計画的避難区域」に指定され,山木屋地区の住民1,252名は避難生活を余儀なくされた(放射線被ばくの件については別の機会に別記事にて述べたい).また,絹織物産業以降の町の中心産業であった農業は,放射能汚染による食の安全に対する懸念,ゼオライトを撒いたものの風評被害の影響は甚大であり,現在も町の農業は麻痺状態である.(詳細については現在調査中).そして,子どもを持つ家庭の引っ越し,職を求める人々の町外への流出は加速し,町の人口減少は当初の見通しを超えるレベルで進んでいる.町は,復興にあたったの基本理念として,①安全が確保され,住民が安心して暮らせるまちへの復興,②雇用が確保され,住民が生き甲斐を感じるまちへの復興,③結いと絆が維持され,住民が幸せを感じるまちへの復興,を掲げ,平成23年度から32年度までの10年計画で数々の施策を実行している.詳細については,こちらをご覧いただきたい.

その中で,計画的避難区域に指定された山木屋地区復興の中心(川俣町復興のシンボル)に据えられている施策として,山木屋地区での過疎型スマートコミュニティ計画というものが存在する.計画についての詳述はここでは控えるが,脱原発を進めつつ,再生可能エネルギー技術(RET)を用いた産業を振興し,地域の人々がRETの恩恵を享受できるような施設の建設(山木屋地区に帰ってくるために)を計画している.

また,震災直前,廃校となった小学校を改装し,町外からの訪問客増加を狙ってオープンする予定であった「おじまふるさと交流館」という施設がある.オープンを目前として震災にあったため,正式オープンは延期され,以後避難所として述べ6万7千人を受け入れた.

大変な状況にありながらも,前向きに復興に取り組んでいる川俣町の状況を知るにつれ,私も何か「良いこと」ができればという気持ちが徐々に高まっていった.それも,一過性の「イベント」ではなく,腰を据えた取り組みを行いたいと考えるに至り,川俣町でインターン生としてお邪魔することに決めた.丁度私の研究分野との親和性が高いという理由から,過疎型スマートコミュニティ事業のお手伝いをすることに決め,サークル活動でお世話になった「おじまふるさと交流館」に関する何らかの取り組みを行うことに決めた結果,前の記事に述べた,インターンシップ中の4つの活動目的が浮かび上がってきたのである.

次の記事では,「おじまふるさと交流館」と縁が深まるきっかけとなった.「シャモロボコン」という活動について述べる記事を書きます.楽しみにしていてください.

石尾