12月

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[報告]報告①:イギリスの電力自由化と日本

こんにちは。向井@ロンドン、ヒースロー空港です。

本日の便で帰国するということで、イギリスに関するいろいろをまとめたいと思います。

まずは、電力市場について。

日経ビジネスオンラインに、イギリスの電力ガス自由化の歴史をまとめた記事がありました。後半はすこし説得力に欠けているように感じましたが、前半部分はとてもわかりやすくまとめられていると思います。

「電力自由化は良いこと」は本当か:最先端の自由化が進む英国の実情、2011年6月16日.

http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110613/220735/

この記事にあるように、イギリスは’Big Six’と呼ばれる電力ガス会社が総供給量の95%を占めています。ちなみに僕が住んでいた家はSouthern Electricという、Big Sixではない会社でした。家主のGeorgeさんにこの業者を選んだ理由を聞いてみると「もしほかの電力ガス会社と契約したかったら簡単にできるから、そう言って」と言われました。この会社を選んだ大きな理由がある訳ではなさそうでした。

僕の所属していた研究所にいらっしゃった日本人の方は、Big Sixのなかの一つであるEON-UKというドイツの会社と契約していると話されていました。ケンブリッジ内でも、いろんな供給業者と契約できるようです。

日本の電力ガス市場との大きな違いとして、’switch’という表現が象徴的でした。カスタマーがより良い電力会社にスイッチするという行動を起こすからこそ、電力会社間で競争が生まれ、電気料金の低価格化といったプラスの効果が生まれます。

f:id:TokyoTechAbeLab:20111220103021j:image

Fig.1. Switching rate.

Source: Energy UK (イギリスの電力ガス会社の組織)

http://www.energy-uk.org.uk/publication/viewcategory/5-research-and-reports.html

「電気料金の低価格化」は、電力ガス市場の自由化によって期待される利点の一つです。が、僕はそれ以上に、カスタマーが電力ガスに「関心」を持つようになる、という効果の方が重要であると感じています。switchableだからこそ、カスタマーは自分で情報を集め、より自分に合う会社を選び、カスタマー自身もスマートになっていくというプラスのループが仕組みとして生まれるように思います。

上記のFig.1は、産業界の団体の出版物なので、イギリスの電力ガス市場がうまく機能しているような印象を与えますが、以下のGurdian紙の記事は反対に、イギリスの電力ガス市場が、寡占状態にあり、競争が生まれておらず、電気料金が高く、カスタマーの負担が不当に大きくなっていることを訴えています。このような問題は、電力ガス自由化が行われている国だからこそ、カスタマーの関心が高く、記事のテーマとして成り立つのだと思います。

“Market failure in energy supply”, The Gurdian, 18 Oct 2011.

http://www.guardian.co.uk/business/2011/oct/18/market-failure-in-energy-supply?INTCMP=SRCH

電力ガスがどのように作られ、どこから来ているのかをカスタマーが知っておく事は非常に重要です。たとえば、福島原発事故における大きな問題の一つは、大事故が起きるまで、電力利用者が自分の使っている電力がどこで、どのように作られているかを知らなかったことでした。これは、個々人の意識の問題というよりも、仕組みとしての問題だと思います。

最後に、この記事の中にEbicoという会社が紹介されています。この会社はsocial enterpriseで、自然エネルギーを使ったり、経済的にエネルギー料金を払えない家庭の支払を減らしたりと、いろいろな取組みをしているそうです。この会社の電気料金は、当然、高所得者にとってみれば相対的に高いものになるのでしょう。ですが、低価格化が達成されなくても、こういう会社が現れてくることは間違いなく電力ガス市場自由化のプラスの側面でしょう。

https://www.ebico.org.uk/

Written by Toshihiro Mukai (向井登志広)

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