M1の末原、B4の大屋です。
3月11日から13日にかけて、インドネシアの首都ジャカルタで行われた「International Expert Workshop on Sustainable Development」に阿部先生、Andante先生のアシスタントとして同行させていただきました。
現行の国際開発目標「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)」の目標期限が2015年に迫り、その後の新たな枠組みについての議論が活発化していますが、今回のワークショップも所属機関、国籍、年齢の異なる多様な参加者が持続可能な開発について意見を交わす機会でありました。
まず1日目、参加者は3つのグループへと分けられ、ジャカルタにある漁師コミュニティ、ストリートチルドレンスクール、妊婦教室へそれぞれ訪問しました。
poor communityと呼ばれるこうした場所を訪問するのは、開発に対して何か具体的にイメージを持つのを助け、意義のあることだったように思います。妊婦教室はジャカルタ北東部のスラム地域内で行われているところを見学させていただいたのですが、ここでは地域のHealth Centerから派遣されたインストラクターが、出産する前と出産した後の食事や生活についてイラストを示しつつ説明し、参加している母親とコミュニケーションを交わしながら指導をしていました。予算の制約によりできることも限られるそうですが、この活動は月に一度無料で行われていて、参加している母親の皆さんが助かっていると言っているのを聞くと、スラム地域の運営のポジティブな側面を見た気がして印象的でした。
2日目は、まず前半に所属組織の活動等を紹介するプレゼンテーションが参加者によって行われ、最後には今回ジャカルタに来ることができなかった方によるスカイプを通じての発表もありました。Andante先生からも、昨秋からスラバヤ、セブで行ってきた参加型ワークショップの活動等についての報告がありました。
後半には、今度は6つのグループに分かれて、「都市部での持続可能な開発に関する課題」についてKJ法を用いて議論をしました。KJ法は、雑多なデータをまとめる際等に使用され、今回のワークショップだと、まず各人がブレインストーミングをしながら「課題」を付箋に書いていき、付箋の中で共通するようなものをひとつのカテゴリーにまとめ、最後にそのカテゴリーごとの関係性を考えます。
ここで出た各グループのカテゴリーは全体として以下の9つのトピックに統合され、最終日の3日目にはこれらの優先順位を問う投票が行われました。
Technology
Health and Nutrition
Capacity of Urban Planing
Income and Employment
Education
Environment
Resilience
Transportation
Governance
3日間のワークショップが終わった後、街でインタビューを行う機会があり、数名の市民の方に上の9つのトピックの中から重要だと思うもの3つに投票をしてもらいました。インタビューに答えていただいたのはタクシードライバーやジャーナリスト、プログラマー等様々です。
結果を見てみると、ワークショップの投票でもそうだったのですが、重要な課題としてEducationに多くの票が集まり、教育の重要性に対する普遍的な認識というものを感じました。また、Educationと並んでEnvironmentも重要な課題として多くの回答者が挙げており、ジャカルタでの環境問題に対する意識が市民にも浸透しているような印象を受けました。
一つ興味深かったのが、ワークショップではそれほど票を集めなかったTransportationに、市民の方々の多くが投票していた点です。おそらく、ワークショップでは都市をジャカルタに限定せず、一般的な都市での課題として重要だと思うものに投票を行いましたが、インタビューではこの「都市」がすなわち「ジャカルタ」として解釈されたため、朝夕のラッシュ時に激しい交通渋滞が起きるその地域性が結果に反映されたのではないかと思います。
現在、ジャカルタ市内では日本のODA事業が関与してMRT(地下鉄)が着工されているそうで、街ではJICAのロゴが入ったフェンスを時折見かけました。
完工は2017年の予定だそうです。