Hearing surveys in Germany and UK

こんにちは。B4の石田です。

9月28日(日)〜10月6日(月)の期間で、阿部先生、片谷さんと共にドイツ、イギリスへヒアリング調査に訪れましたので報告をいたします。目的は、再生可能エネルギーに普及に関わる蓄電池システムの実証プロジェクトやイギリスの電力市場に関するヒアリング調査を行うことでした。

日程は以下のようになりました。
9月28日(日):成田発、ヘルシンキ経由でフランクフルト着。ケルン泊。
9月29日(月):Fraunhofer UMSICHT訪問。
9月30日(火):アーヘン大学、E.ON Energy research Center訪問。ケルン・ボン空港発、ヒースロー空港着でロンドンへ。ロンドン泊。
10月1日(水):UK Power Networks社訪問。オックスフォード大学見学。
10月2日(木):Imperial College London、Energy Future Lab訪問。SmartestEnergy社訪問。
10月3日(金):University of Bath、SoLa Bristolプロジェクトチーム訪問。
10月4日(土):ロンドン市内見学。
10月5日(日):ヒースロー空港から羽田空港へ。
10月6日(月):帰国。

【9月28日(日)】
名称未設定
午前10時30分成田発の飛行機でまずはヘルシンキへ。

名称未設定1
なんと機内食で朝食として吉野家が出てきました。
最近では機内食を外食産業とコラボレーションをするケースをよく耳にしますが、「吉野家」という意外性のあるものであったため大変興味を惹かれました。

ヘルシンキからフランクフルト空港、そしてケルン駅へと辿り、この日はケルン駅近くのホテル「クリスタル」に直行しました。18時間近くの長旅でした。
名称未設定2
ヘルシンキ空港にて
名称未設定3
ヘルシンキ空港にて、ムーミンショップ
名称未設定4
ようやくケルンに到着(駅前の夜のケルン大聖堂)

【9月29日(月)】
最初のヒアリング先として、Fraunhofer UMSICHTに訪問をさせて頂きました。Fraunhofer UMSICHTはヨーロッパ最大のアプリケーション指向の研究所であるFraunhofer-Gesellschaftの一研究機関です。環境、安全、エネルギーに関する研究を取り扱っています。Fraunhofer-Gesellscaftはドイツ国内に67の研究施設を設けており、研究センターや代表部がヨーロッパ、アメリカ、アジア各地に点在しています。日本にも赤坂に所在するドイツ文化会館内に日本代表部があるようです。
今回はFraunhofer UMSICHTで行われているプロジェクトの一つであるHYBRID URBAN ENERGY STORAGEというプロジェクトに関わっていた Dr. Carsten Baier氏にヒアリング調査のご協力を頂きました。このプロジェクトでは将来の再生可能エネルギーの大量導入を見据えて、系統の安定化の為に都市部における蓄電池の役割について研究をされています。ドイツでは北部での風力発電、南部での太陽光発電が盛んですが、いずれも都市部からは距離が遠く、そのような地理的障害にも対応しなくてはならないそうです。
名称未設定5
調査に応じてくださったDr.Carsten Beier
名称未設定6
Fraunhofer UMSICHT: http://www.umsicht.fraunhofer.de/en.html

【9月30日(火)】
この日は、片谷さんが1年間、交換留学されていた研究グループが所属するアーヘン大学のE.ON Energy research Centerを訪れました。写真をご覧になられるとお分かりになられるように、とても立派な建物です。建物内も綺麗で清潔感に溢れており、非常に良い環境であると感じました。余談ですが、片谷さん曰く、ドイツでは研究室に常時所属するのは博士課程の学生のみであるそうです。修士課程の学生は日本の学部生並の授業があるそうで、そのため知識量をものすごく蓄えているそうです。当日は残念ながら研究室の長であられるDr. Madlenerはご不在でしたが、様々なお話を聞かせて頂きました。僕はちょうどEVに関するプロジェクトを担当している方がおられたので、その方にプロジェクトについてのお話をして頂きました。
名称未設定7

E.ON Energy research Center: http://www.eonerc.rwth-aachen.de/cms/~dmud/E-ON-ERC/lidx/1/

その後はケルンのホテルに戻り荷物をピックアップして、ケルン・ボン空港からヒースロー空港へ向かいました。イギリスではロンドン中心部の西部にあるPaddington駅から徒歩10分程度のところに立地するホテルに宿泊しました。
名称未設定8名称未設定9

【10月1日(水)】
午前はUK Power Networks社へ訪問させて頂きました。UK Power Networks社では、主にEVに関するプロジェクトについてお話を伺いました。Ofgem(ガス・電力市場規制庁)によるLow Carbon Networks Fundからの資金提供を受け、Low Carbon Londonという名の下でプロジェクトが行われています。このプロジェクトは、EVや関連設備、充電設備を家庭向け、公共向けに導入し、EVの充放電モニタリングを行っています。後日ロンドン市内を歩いていたところ、このプロジェクトによるものと思われる充電設備の発見もしました。
名称未設定10名称未設定11
左写真:UK Power Networks社前
右写真:ヒアリングに応じてくださったMr. Michael Clark

UK Power Networks: http://www.ukpowernetworks.co.uk/

そして午後は、オックスフォード大学へ見学に行きました。オックスフォードは街全体が学園都市のようになっており、駅から出てすぐにビジネススクールを発見しました。

名称未設定12

名称未設定13
昼食は、「指輪物語」の作者J.R.R.トールキンと「不思議の国のアリス」の作者C.S.ルイスがよく二人で利用したと言われているThe Eagles and Childというパブを訪れました。なんと、パブはオックスフォード大学のカレッジの一つである、St. John’s Collegeにより所有されており、1684年創設です。
名称未設定14
その後は、Christ Churchを僕は訪れました。
名称未設定15

【10月2日(木)】
この日は、午前にImperial College LondonEnergy Futures Laboratoryを訪問させて頂きました。Energy Futures Labではその名の通りエネルギーに関する研究を行っているのですが、特に興味深かったのはその教育です。修士課程や博士課程ではエネルギーに興味・関心のある学生を分野を問わず集めておられます。Energy Futures Lab全体の活動内容も聞かせて頂きましたところ、学際的に分野を超えて研究活動を行っているそうです。様々な視点を集めることに力を集めている印象を受け、国際開発工学科や国際開発工学専攻に通じるものを感じました。

名称未設定16
名称未設定17
調査に協力してくださったMs. Jacqueline EdgeとMr. Darren Grey
名称未設定18

Energy Futures Lab: http://www3.imperial.ac.uk/energyfutureslab

また、午後にはSmartestEnergy社に訪問をさせて頂きました。阿部先生の東工大時代の同級生でもあるというSmartestEnergy社の伊藤様にご協力を頂き、お話を伺うことが出来ました。SmartetEnergy社は、本邦企業である丸紅の100%子会社であり、特にイギリス国内の再生可能エネルギーを所有している中小の発電事業者から電力を買い集め、まとめて販売(卸売)する事業(コンソリデーション事業)を主に展開しています。片谷さんも仰っていましたが、やはり実際にその業界の中におられる方からお話を伺うと大変理解がしやすく、とても貴重な機会となりました。SmartestEnergy社の事業内容を中心に、複雑なイギリスの電力業界やその制度、仕組みに関してより理解を深めることが出来たと感じています。

SmartestEnergy: http://www.smartestenergy.com/Default.aspx

【10月3日(金)】
ヒアリング調査日程としては最終日となり、この日の午後はUniversity of BathにてSoLa Bristolというプロジェクトについてヒアリングをさせて頂きました。ロンドンのパディントン駅から電車にのり、1時間半ぐらい離れたバースへ向かいました。
SoLa Bristol projectは、Ofgem(ガス・電力市場規制庁)Low Carbon Networks Fundから2011年11月に£220万の資金提供を受けて執行されているプロジェクトです。PVパネル導入による系統内の低電圧電力増加に伴う技術的制約問題に取り組むことを目的とし、家庭用蓄電池や様々なタリフを用いることでより効率的にPVによる電力を系統に接続し、かつ系統の安定性を保持することを目指しています。また、DC電源の利用に関する実証実験も行っています。また、バース大学の図書館の5FはDC電源を直接PCに供給する実証実験を行っているとのことでし。ヒアリングに協力して頂いた方の中には心理学者の方もおり、普段とは異なる視点からのお話を伺うことができたためとても興味深いヒアリングとなりました。

名称未設定19
左から、片谷(東工大M2)、石田(東工大B4)、Mr. Mark Dale (WPD), Dr Ian Walker (Department of Psychology, Univ. of Bath), Dr Susanna Martin (Department of Psychology, Univ. of Bath), 阿部准教授 (写真には写っていませんが、Dr Miles Redfern (Department of Electrical Engineering, Univ. of Bath)およびMr Surendra Kaushik (Department of Electrical Engineering, Univ. of Bath)も同席してくださり、話を聞かせてくださいました)
名称未設定20
名称未設定21
名称未設定22

SoLa Bristol: http://www.westernpowerinnovation.co.uk/So-La-Bristol.aspx

ちなみに、私たちの訪問は、バース大学の心理学科のHPでも紹介されました。

【10月4日(土)】
金曜日の夜にバースから戻り、航空券の関係から日曜日に帰国することになっていたため(日曜日に日本に到着する便のチケットは恐ろしく高額とのこと)、この日はロンドン市内を見学することが出来ました。僕は初めてのロンドンであったので、ビック・ベンなど主要な名所を回りました。ビック・ベンからヴィクトリア駅に戻ろうと雨の中道を歩いていると、あの広いロンドンの街中で偶然にも片谷さんと遭遇したことにはとても驚かされました。朝から天気が良くなかったのですが、夕方には天気も回復し、好きな音楽を聴きながら心地よく裏道や公園を散歩することができたことは良い思い出です。
名称未設定23
名称未設定24
名称未設定25
散歩中に、EVチャージステーションも発見しました。

発見した場所はイギリスの運輸省(Department for Transport)のすぐ近くなのですが、大通りから一本奥に入った裏通りです。アクセスがあまり良いとは思えない場所であったので、近隣住民や訪問者に向けてのものでしょうか。住宅地も周辺に広がっており、路上に駐車されていた車は高級車ばかりでした。EVの価格との関連性もありそうです。

【10月5日(日)】
午前中の便で帰国予定でしたが、東京に接近していた台風の影響で飛行機が8時間もの遅延となりました。ヒースロー空港内で時間を潰していました。出発遅延の補償としてもらった食事券のおかげで、イギリス最後の食事として、ご馳走になりました。
名称未設定26
名称未設定27
名称未設定28

以上、イギリス・ドイツでのヒアリング調査のブログでの報告です。僕自身至らぬ点も多かったですが、ヒアリング調査は大変勉強になりました。また、僕は今までに阿部先生や片谷さんとこのような長い時間行動を共にしたことがありませんでしたが、お二方から学ばせて頂いたことも多かったと感じております。研究のみならず、これからの活動に活かしていきたいと思います。
ヒアリング先の皆様、阿部先生、片谷さん、そして様々な手配をして下さった坂本さんに心より感謝申し上げます。