4th International Conference of the Global Research Forum on Sustainable Production and Consumption に参加して

初めての投稿になります。B4の風間智裕です。

 先月2019年6月26日から29日、香港科学技術大学にて、第4回GRF (Global Research Forum)on Sustainable Production and Consumptionが開催されました。Handayani Nabilah (Hani) さん(M2)の本学会での発表に同行させていただきましたので、ご報告いたします。

 阿部先生、坂本さん、Haniさんやその他の研究室の皆さんのご協力により、今回のような貴重な機会をいただくことができました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

 報告

 本学会は、アジア欧州環境フォーラム(Asia-Europe Environment Forum)、地球環境戦略機関( Institute for Global Environmental Strategies (IGES))、国立環境研究所(National Institute for Environmental Studies)、 SWITCH to Green Initiative、そしてSWITCHアジアの5機関の協力のもと、香港科学技術大学の主催で開催された。特定の専門分野に関して高度な議論を行う場ではなく、持続可能な社会の実現に向けた生産や消費のあり方について幅広い分野の関係者が自分の考えを持ち寄って共有し、議論を深める場である、そんな印象を受けた。

 学会では、各日午前午後についてテーマが設けられ、それについて全体向けのセッションが行われる。その後関連するテーマごとに別れ、それぞれの研究内容を共有した。

主な日程と各議題を以下に示す。

6/26(水)

受付開始・オープニングトーク

6/27(木)

午前:持続可能な生活と暮らし/午後:持続可能な将来像と変わりゆく文化

6/28(金)  

午前:アジア地域の今後の見通し/午後:政策と実践、研究のつながりについて

6/29(土)         

午前:持続可能な消費のあり方とは/午後:クロージングトーク

全体を通して

 今回は私にとって国内外問わず初めての学会であった。不安の方が大きかったが、結果として非常に有意義な4日間であった。

 私にとっての収穫は、大きく分けて三つある。一つは、学会というものを、それも海外で初めて経験できたこと。二つは、様々な人の発表を見聞きしたことで、自分が発表する際の引き出しが大きく増えたこと。三つは、立場の異なる人々と議論する力、自分の意見を伝える力の大切さを身を以て体験できたということである。

 まずは初めての学会経験について。今回の学会では、プログラムの合間合間に軽食やコミュニケーションの場が意図的に設けられており、常にあちらこちらで議論が起きていた。食事の場面でもコミュニケーションを盛り上げるためのイベントが常に企画され、場がシーンと静かになるようなことはほとんどなかった。質疑も相手を否定するようなものはほとんどなく、常に皆が参加し、自然と楽しく、活発に議論が行われていた。また、今回の議題である社会の持続可能性に関して現在どのようなことが問題とされ、研究対象とされているのかをなんとなく把握することができた。

 発表内容や方法に関しても、いくつか発見があった。トーク中心であったりスライド中心であったり、そのトークも一方的に話すのか聴衆を巻き込むのか、そのスライドも文字が多いのか、図が多いのか、当然さまざまな発表があると思う。今回の4日間では、本当に色々な種類の発表を聞くことができ、多くの刺激を受けた。人を惹きつける話し方をする人、部屋全体を自分の世界観に引き込んでしまう人、思わずみてしまうようなスライドや、多くの情報を見やすく伝えるスライドなど、自分が発表する際に直接役に立ちそうなものを多く得ることができた。

 議論の場でも多くを学んだ。今回の学会では『社会の持続可能性』テーマのもと、議論をする場が数多く設けられた。1テーブルに4人座って議論をする際に、立場や専門分野が全く異なる人々と話すことができた。ある人は政府系機関の立場から、ある人は芸術家の立場から。この場に来なければ話さなかったであろう人たちと、同じテーマのもと議論の場を共有することができた。私はまだまだ勉強不足で英語力不足による制限もありもどかしい思いすることばかりであったが、そのような思いをできたことが大きな成果であったと思う。

 今回の4日間で経験したことを、今後の研究や発表、学会の場で大いに生かしていき、充実した学生生活を送っていきたい。

1日目

 昼過ぎに香港に到着し、そのままタクシーでホテルへ。その後運営側が手配した乗合バスで、ホテルから会場である香港科学技術大学に向かった。

Conference Lodge


 受付を済ませ、会場入りした。オープニング、クロージングセッションは同じ会場(Li Dak Sum Yip Yio Chin Kenneth Li Conference Lodge)で行われた(写真)。非常にカジュアルな雰囲気で、皆立ち話をしたり席を移動したりしながら交流を深めていた。

Day1. Opening Reception

2日目

 午前のテーマは、「持続可能な生活と暮らし」、午後のテーマは、持続可能な将来像と変わりゆく文化。昨日とは別の会場で行われた。

 午前のオープニングセッションの話者のLewis Akenji 氏のプレゼンテーションでは、持続可能な社会環境を維持するために私たちが何をすればいいのか、とても簡潔に、わかりやすく要点を話していた。加えてスライドの作りや話の進め方にも随所に工夫、こだわりが見られ、非常に参考になった。午後のカンファレンス終了後、ワールドカフェと題して、1.5℃気温が上昇した世界で人々は何を失うのかについて1テーブル4人で議論した。複数のグループから、人のつながりや多様性が失われるのではないかという意見が出たのは印象的であった。その後夕食会が行われ、各地域の人が歌や朗読など自国の文化を紹介しながら進んでいった。これが学会の1イベントであることを忘れかけてしまうほど終始にぎやかであった。           

Day2. Main Conference room
Day2. Culture Introduction at Dinner
A View from the University

3日目

Day3. Lunch with Discussion

 この日のテーマは、アジア地域の今後の見通しと、政策と実践、研究のつながりについてであった。午前中には持続可能性とシェアリングエコノミー、リバウンド効果の関係性に関する研究発表を聞いた。私はシェアリングエコノミーの中のコワーキングスペースに関する研究を進めているため、今回の日程の中でも非常に気になっていたものであった。交通のシェアリングに関する利用者の意思決定に関する研究と消費財の寿命の環境に対する影響を評価した研究は、その手法、背景、結果の考察など非常に興味深かった。また、午後のディスカッションでは洋服の持続可能性について、技術的なものから政策的なもの、生産する際の労働環境に至るまで、幅広い議論がなされた。この分野に関しては直接自分の研究に関係するわけではなかったが、特定の分野に対してどのような側面から議論すればいいのか、非常に参考になった。

 夕食は、阿部准教授の友人で現在香港在住の方とその同僚の方々に案内していただいた。学会の会場は香港中心地から離れていたが、この日の夕食場所は香港の夜景などを感じることができとてもいい時間を過ごさせていただいた。

A night view in Hong Kong


4日目

 最終日は午前中のみで、テーマは、持続可能な消費のあり方とは。この日はHaniさん(M2)の発表があった。Haniさんの発表の質疑応答での議論を聞いて、様々な背景を持った人と議論をすることで思いもよらない発見があったり、新たな人とのつながりが生まれたりするのだなと思った。自分の研究も、このような場で自信を持って発表できるようなものにしていきたいと思った。




Discussion after the presentation
A View from Victoria Peak

 その日の午後は時間が空いたので、香港中心部を見下ろせるビクトリアピーク(太平山)にバスで向かった。バスでの終着点から徒歩で頂上まで登ったのだが、これがかなりきつかった(景色は良かった)。

Three participants from Tokyo Tech