太陽光発電のリサイクル・リユースについて

D1向井です.

太陽光発電のリサイクル・リユースに関して,興味深い情報をいくつか見つけましたので,共有したいと思います.

[1]第2回太陽光発電システムのリユース・リサイクルワーキンググループ議事要旨(2010年2月4日)

http://www.enecho.meti.go.jp/energy/jutaku/riyu-su/riyu-su2/yousi.pdf

[2]シリコンを使わない新しい太陽電池を大量生産へ

http://www.nedo.go.jp/hyoukabu/jyoushi/showashell/index.html

<コメント>

太陽光発電のリサイクル・リユース産業を今後活性化,制度化していく場合,第一に必要な,本質的な議論は,「太陽光発電システム産業に,リサイクル・リユースは本当に必要なのか」という点であると思います.

以下,記事[1]の4ページ目より抜粋.

”個別リサイクル法制度の対象となった自動車や家電製品の場合、既にリサイクルフローが存在し、不法投棄等の問題が発生していたために検討が始まった。”

”太陽光発電システムのリサイクルは、何を主要な目的としているのか。家電製品であれば、埋立処分量の削減や資源確保といった目的があった。太陽光発電システムの場合、架台等の金属は撤去時に資源として利用されると考えられるし、ガラスはリサイクルでは経済性が成り立たないということであり、シリコン等の資源確保も難しいのであれば、何を目的としてリサイクルするのか。”

自動車や家電製品におけるリサイクル体制整備の目的は,不法投棄問題の解決という「問題解決のための制度整備」だったようです.しかし,近年ようやく普及し始めた,20~30年稼働することを期待されている太陽光発電システムにおいては,廃棄に関する問題が顕著化するのはもう少し先のことのように思います.

また,当然のことながら,現状の太陽光発電産業には,リサイクルフローがほぼ存在していません.そういったなかで,リサイクルについて現実的・有益な議論を進めるのは,なかなか難しいのだろうな,と思いました.

また,上記抜粋意見は,太陽光発電システムの構成部分(モジュール(シリコン,他),インバータ,その他ガラスなど)においては,収益性のあるリサイクル市場の構築が難しいことにも言及しています.この発言をそのまま鵜呑みにするつもりはありませんが,profitableな市場の構築可能性についても,是非議論が必要です.

最近はシリコンを使わない太陽電池も開発されており[2],米国ではそちらのほうが低コストで主流になっています.セルのリサイクルひとつとっても,そう単純ではない気がしました.

以上のような意味において,現状において最も必要な(かつ,有益性の高そうな)論点として,以下が指摘されていました.

”太陽光発電システムの排出後のフローをそのままにしていた場合、どのような事態が発生するか考える必要がある。そのままでもCO2 排出量や経済的に問題がないのであれば、そのままにしておき、必要な点のみガイドライン等を作成すればよいだろう。そのままにしておくのだとしても、合理的な理由は必要である。”

この意見には非常に説得力があります.2015年,2020年,2025年に,設置後20~30年になるシステムがどの程度存在し,それらの行先はどうなるのでしょうか.それをメーカー・設置業者・ユーザーはどうしようと考えているのでしょうか.

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