おひさまエネルギーファンド株式会社・おひさま進歩エネルギー株式会社 の市民出資に関する説明会への参加レポート

1月31日、長野県飯田市で行われたおひさまエネルギーファンド株式会社とおひさま進歩エネルギー株式会社による「新庁舎マイパネルオーナー「信濃の国おひさまファンド」市民出資について」という飯田市民対象の出資に関する説明会に参加をしてきました。その事について報告します。

今回の説明会では会社の生い立ち、理念から今回のファンドの対象事業の紹介、出資の際のリスクなどの説明があり、15名ほどの市民が聞きにいらしていました。

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おひさまエネルギーファンドの歴史
おひさまエネルギーファンドとは代表取締役の原亮弘氏を中心にCO2の削減、地域エネルギーの創出を目的とし市民ファンドという金融商品を取扱っている会社です。
2004年に前身のNPOを母体として、「おひさま進歩エネルギー有限会社」として発足し、2007年11月の組織変更により現在の募集会社と運営会社の体制になりました。

おひさまファンドとは市民からの出資金を自然エネルギーの初期設備へと投資し、得た収益を出資者に分配する仕組みで運営をしています。2005年2月に第一号ファンド(「南信州おひさまファンド」)を募集し、約450名の市民から2億円以上の満額の応募を得ました。その出資をうけ、38の太陽光発電所と省エネルギー事業を飯田市内で実施しました。現在まで7つのファンドで合計約15億円の出資があり、太陽光発電事業だけで約315カ所3,880kW、CO2の削減予想で一年あたり1,600トンの実績があります。

今回の対象事業
今回の対象事業は①南信州地域や共同で事業を行う予定地域の事業所や作業場などの屋根や土地に設置する20〜50kW規模のメガさんぽおひさま発電所2014と②南信州地域の一般の家庭の屋根を借りて設置する5kW程度のマイホーム発電所2014の2種類があり、出資者は10年間かけて分配金が得られる一口10万円からの契約と、20年かけて分配金が得られる一口50万円からの契約の2種類の契約から選んで出資できます。

その一貫として飯田市役所の新庁舎への設置も含まれています。今回は一人1kW運動「マイパネルオーナー」という取り組みで、出資をした市民が新庁舎に乗せる太陽光パネルに名前を記銘できるプロモーションを行っています。

出資に際してのリスク
出資者には考慮しなければならないリスクがあります。当ファンドは出資者から初期設備投資を募り、設備から得られた利益で出資者に分配をする金融商品であり、不測の事態で事業が計画通りに進まなくなってしまった場合の出資金の元本保証がありません。また、契約の期間中は中途の解約および一部の払い戻しができません。おひさまファンド側は出資者には長期運用可能な余裕資金の範囲での出資を呼びかけています。出資者はこのことを念頭において地域のエネルギー創出に出資します。

このような形でおひさまエネルギーファンドは再生可能エネルギーを地域の中で創出することで、日本のエネルギー問題の解決の一端を担い、人・物・お金を地域内で循環させる社会の仕組みの実現を目標に事業を行っています。

市民からの質問 — 維持管理に関して
おひさまファンドからの説明の後は参加した市民からの質問がありました。質問の多くは気象条件や気候変動、太陽光パネルの劣化などにより計画通りの発電量が得られなくなるリスクを懸念するものでした。

長野県飯田市は年間の日照時間が日本の平均の1900時間に比べ、2100時間と非常に長く太陽光発電に適した場所だと言えます。さらにその中で太陽光パネルでの発電ポテンシャル調査で発電が見込まれる発電量よりも少なめに見積もり発電計画としています。そのため、多少の気象条件の変化があったとしても計画以上の発電量が得られています。一方で冬の降雪量の多さは発電に悪影響を与えます。記録的な豪雪など発電に多大な影響を与える要因に対しては保険に加入しておりその保険でカバーをしています。

ポテンシャル調査に関しては太陽光パネルを提供している京セラが設定する基準でのシミュレーションを利用し、発電量を予測しています。このシミュレーションでは市ごとの範囲でポテンシャルを計算しているもので、それより詳細な範囲のデータは考慮していません。設置場所は十分な場所が得られて、市内に長くのこる施設を選び、その施設との交渉に長い時間をかけて合意形成を得て決定しています。

太陽光パネルの維持管理に関してはすべての設備に遠隔操作でモニタリングをできる設備が搭載されており、おひさま進歩エネルギーが24時間体制で異常がないかを一括管理をしています。

参加者から頂いたコメント
説明会の後で参加者の市民の女性から話を聞くことができました。
この事業を知ったきっかけ、出資を考えた理由、技術に対する不安について意見をいただきました。

今回、市の新庁舎の屋根に太陽光パネルが設置されるということで、市民新聞に取り上がられたことで初めて当事業について知ったそうです。説明会の時点では出資をするか決定はしていないものの、市民として市と環境問題に貢献できる機会なので出資に興味を持ったとおっしゃっていました。技術に対しては特に飯田市が中央構造線という断層の上にあり地震防災対策強化地域に指定されているなど、地震が多い地域なので、地震など自然災害が起こった時に技術が壊れたりすることがないかと心配されているようでした。

まとめ
初めて参加したおひさまファンド株式会社・おひさま進歩エネルギーの説明会でしたが、今回の事業で飯田市の新庁舎の屋上に太陽光パネルが設置されるということで市民の皆様の間での認知度も高かったようです。特に印象的であったのが設置場所の決める時の合意形成に時間と労力をかけるとおっしゃっていたことで、長く地域に根付いたプロジェクトを成功させるためには信頼関係の構築というのが重要であるとのことでした。

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文責 平井雄之

(以上)