<はじめに、UWの紹介>
こんにちは、M2の森住です。今回私は8/24~9/16までUniversity of Washingtonの短期語学研修プログラムに参加してきました。University of Washingtonはワシントン州 シアトルにある州立大学で、太平洋岸北西部では最も大きい大学として知られています。シアトル内にもいくつかキャンパスがあるそうですが、メインのキャンパスはシアトルのダウンタウンからバスで20~30分ほど移動した場所にあります。メインキャンパスの敷地面積は700エーカー以上あるためか、キャンパス内にもメトロバスが通っています。「さすがはアメリカ!規模が違う!」、と思ったのですが実際歩いてみると、UWの南端(大学入口)から北端(私の滞在していた寮)に徒歩で移動するまでの時間は、大岡山駅から阿部研に移動するまでの時間と変わりませんでした。
UWのキャンパス写真
1. 基本的な移動はバスです。学内にもメトロバスが通っており大変便利です。
2. キャンパス内にはいくつかの図書館があるのですが、この写真はキャンパス中心部にあるSuzzallo libraryの写真です。中にはカフェ(コンビニ)があり、近隣の住民の方も利用しているようです。
3. 滞在していた寮「Haggett Hall」の写真です。夏休み中ということもあり多くの寮生は帰省していたようですが、研修終盤に近付くにつれ新学期に向けて新しい寮生が入寮したり、帰省していた寮生が戻ってきたりと日々賑やかになっていくのを実感しました。
<活動内容紹介>
ここでは研修中に行った、調査活動の紹介をしたいと思います。UW近郊にあるMontlakeという地域では、地域住民主体のNPO団体によってさまざまな環境保全活動が行われております。今回の調査では、Montlakeの住民の方がTree Planting ProjectというMontlake内の環境保全活動をどの程度認知しているのか、またMontlakeでは今後どのような環境保全活動に取り組んでいくのかを調査して参りましたので簡潔ながら報告します。
1. Montlakeとは
MontlakeはUWの南に位置する地域の名称です。特に有名な観光地は無く、歩いていても出会うのは大概が地元の住民の方々です。高速道路へのアクセスが容易である他、自然環境が豊かであること、また北側には巨大な湖があり週末のレジャーが楽しめる地域であることから、住まいを設けるには最適な地域であることが覗えます。
2. Tree Planting Projectとは
先述の通りMontlakeは自然環境が豊かな地域ですが、帰化植物による生態系バランスの変化、特に在来種の減少が問題となっています。帰化植物(native plants)はその成長の速さ、環境への適応力の高さからinvasive plantsとも呼ばれています。Tree Planting Projectは絶滅の危機にある在来種の保全の為に、帰化植物の駆除や在来種の植林を行うプロジェクトであり、Montlake内でもこれまで多くのエリアの在来種保全に貢献してきました。今回、偶然インターネットでこのプロジェクトを知り、地域住民の方々がどのような考えを持っているか興味を持ったことがきっかけで、Montlakeの住民にインタビュー形式で調査を行い、以下の点が明らかとなりました。
3. 住民の関心
Montlakeに限らずアメリカでは大半の住民が何かしらのコミュニティに所属しているそうです。例えば、料理クラブやテニスクラブなど。環境保全活動クラブといったものも存在しており、MontlakeではMontlake Community Clubと呼ばれているそうです。またMontlake地域内を散策していると多くの小さな公園を見かけることがあります。そこにはMCCによって在来種の保全に向けた取り組みがなされていることを示す看板が立っていることが多く、これらの背景もありインタビュー調査では話を伺った全ての住民がTree Planting Projectの存在を良く知っていました。日本では近隣付き合いや自治体といった概念が薄く、こういったコミュニティ活動が活発ではないため、日本から来た私にとっては新鮮である一方で、地域コミュニティという概念が欠如している日本の現状を考え直させられる機会となりました。Tree Planting Projectは地域住民のVoluntaryな活動が主体ですが、他のNPO団体が主催するものや、UWの学生有志とNPOの共同プロジェクトといった様々な参加者、形態から成り立っているようです。
4. 今後の課題
MCCでは現在、Tree Planting Project以外にも様々な環境保全プロジェクトを行っています。インタビュー調査を通じて、現在最も活発に議論がなされている議題は、Montlake周辺の橋の拡張に伴う環境への影響、とのことでした。
(Replacement projectに関してはリンクを参照のこと)
特に北部の橋は1925年に作られた古い橋で、交通環境が大きく変化した現在では、渋滞を引き起こす原因として問題視されてきました。高速道路のすぐ近くに位置するこれら橋と周辺の道路の拡張を行い、従来に比べてスムーズな交通環境を整えることがこのプロジェクトの目的のようです。しかしこのプロジェクトの実施に伴い、Montlakeの環境への悪影響が懸念されています。MCCではこのプロジェクト自体には反対の姿勢を示していないものの、どれだけ環境へのインパクトを軽減してプロジェクトを実施できるか、そのために必要なことは何かを活発に議論しているそうです。