The 38th IATUR Conference in Korea

みなさんこんにちは!

久しぶりにブログを書いております.石尾です.

私この度,阿部先生とともにThe 38th IATUR (International Association for Time Use Research) Conferenceで発表をするため,はるばる韓国はソウルに行って参りました.

何を隠そう私今回が初韓国でありまして,韓国に関しては韓流◯◯などといった断片的な情報から得られる脆弱なイメージしか持ちあわせておりませんでしたが,その食文化(主に酒と肴)に関してはかねてから並々ならぬ関心を寄せており,渡航前夜に期待度の高さゆえ浮足立つ私の様は,後輩たちをおおいに困惑させたことでしょう.

とはいえ,メインはあくまでも学会への参加です.この学会はTime Use Research,いわゆる生活時間調査に関連する研究を行っている研究者の集う,おそらくは世界最大の学会であり,さらに今年のテーマはNew Challenge in Time Use: Well-being and Social Policyと,人々の暮らしの中での感情の変化やストレスをテクノロジーを駆使することで読み取り,これを個人でのコーピングや社会的課題の解決に役立てようと考えている私にとってはまさにピッタリのものでした.

この分野の他の研究者たちがWell-beingという概念をどのように理解しているか,どのような手法でWell-beingを測定しているか,生活時間調査でWell-being等の測定を行う際に生じる課題としてどのようなものに注目し,どのような解決策を提案してるのかについて確認することが私の大きな関心事でした.

私は会場となるSeoul National Universityにほど近い(と思われた),Guro Digital Complex Stationそばに宿をとり,そこから電車とバスを駆使して会場入りすることにしました.ただし,これが意外と大変なのです.最寄りであるはずのSeoul National University Stationから大学の正門まで体感で大岡山駅から西小山駅くらいの距離があるうえ,大学の敷地が広大で一向に会場に着きません.おまけにバスの中の表示はほぼ全てハングルで,まれに英語のアナウンスがある程度ときており,初日(ワークショップ)は混乱の中,大汗をかきながら会場入りしたのでした.

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さて,この学会のプログラムなのですが,約1週間の開催で,初日に生活時間調査研究者としてのスキルを磨くためのワークショップが開催された後,Keynote LecturesとCoffee break挟んだParallel sessionsが催されるといった具合で,昼には学内レストランでの食堂,夜には学内パーティ会場におけるパーティーが催されます.とにかくParallel sessionsにおける発表をうまく終えつつ,Keynote Lecturesなどで積極的に質問することに加え,その他の時間で他の研究者と情報交換やディスカッションをし,研究の進展に有益な情報を集めるのが私のミッションでした.

ここでの出来事を全て報告することはできませんが,印象的だったことを幾つかご報告します.

ワークショップでは,ヨーロッパで収集された各国の大規模データをSPSSを用いてどのように分析するかについてのレクチャーが行われました.私の研究でこのような大規模データを扱えるようになるのはまだまだ先の話で,すでにあるものを利用するタイプの研究はあまり好むところではありませんでしたが,講師の一人であるTienoven氏の「これからは個々のエピソードを見るだけではなく,シークエンスを見ていく必要がある.こうすることでようやく,生活のコンテクストを理解することができる.コンテクストの理解なくして生活を理解することはできない」という旨の言葉には大いに共感を覚えました.そのためにパターン認識に基づくアプローチを紹介していましたが,主観的情報の欠けた現在のデータベースにこのアプローチを適応することがどれほど有益であるのかまではわかりませんでした.面白そうな話なので,地道にデータベースを構築しつつ,自然情報処理等に関する勉強も進め,自分でも試して見たい話だと感じました.

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他に,回答者負担を減らしつつ,正確な回答を得るためのアプリを開発している方々にもお会いすることができました.ブリュッセルのMOTUSとドイツのHappiness Analyzerです.歳も私とそう変わらない研究者が(私より5,6歳年上),研究を元にアプリを開発しそれをビジネスにしようとしている姿に大いに刺激を受けました.私も今自分が使っているアプリをより良いものにしていけるよう頑張りたいです.次,彼らに会うときには改良版を見せられればと考えています.

そして,私が生活時間調査について始めて知り,多くのことを学ばせて頂いた先生と直接お会いすることもできました.本当にこの学会に参加してよかったです.

私の発表については,後半時間に押され気味になりましたが,聞きにきて下さった方々には少しは楽しんで頂けたのではないかと思います.

やはり,似たような分野で同じような問題意識をもって研究されている先達の皆様に話をきいてもらえるのは非常に嬉しいです.研究室に篭っているだけではなかなか味わうことのできない感覚です.今回,心から「学会っていいなあ,たのしいなあ」と思いました.非常に研究に対するモチベーションが高まりました.次回はスペインはマドリードで開催されます.今回お会いすることのできた皆様に進展した私の研究とその他活動を報告できる日を楽しみにしています.このような機会を頂けたことに感謝するばかりです.

最後に,韓国の食についてですが,全て美味しかったです.ただ,朝食以外の全てをソウル大内で食べることとなり(もちろんどれも非常に美味しかったです),私が夢想していたような酒と肴,大衆的な飲み屋か食堂を楽しむ機会はほとんどありませんでした.最終日前日の夜に,ディナー後の満腹状態で無理やり焼肉屋に入り,サムギョプサルとマッコリを食しましたが,いずれまたプライベートで渡航したいと考えています.

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石尾