高野山 地救ふぉーらむ

またまたB4町田です。先週末にインターン先の気候ネットワークの絡んだイベントで和歌山の高野山(世界遺産!)に行ってきました。ポスト京都の枠組みが決まることになっているコペンハーゲンでのCOP15に向けた市民向けのイベント「高野山地救ふぉーらむ」です。

http://2050earth.org/

今回はその報告をさせていただきます。

気候ネットワークとFoEジャパンが中心となって展開している、温暖化防止のための法律を作ることを国に求めるキャンペーン「Make the RULE」(http://www.maketherule.jp/)と、わかやま環境ネットワークが主催の、おそらく地方で開かれる今年の温暖化関連の市民向けイベントとしては最大のものだったのではないかと思います。

わかやま環境ネットワークの方々に夜飲みながら苦労話を聞かせていただきましたが、よくぞ地方にこれだけの面々を集結させたなと思います。

浅岡美恵(気候ネットワーク代表)

アンジェラ・レッドフォード・アンダーソン

米国気候行動ネットワーク(US Climate Action Network, USCAN)プログラムディレクター

飯田哲也(環境エネルギー政策研究所代表)

枝廣淳子(環境ジャーナリスト)

田中優(未来バンク事業組合理事長)

西岡秀三(国立環境研究所参与)

浜中裕徳(地球環境戦略研究機関理事長/元地球環境審議官)

フランツ=ミカエル・スキョル・メルビン(在日デンマーク大使)

松長有慶(高野山真言宗官長/全日本仏教会会長)

三浦雄一郎(プロスキーヤー/冒険家)

特に、日本仏教会のトップが世界遺産である高野山で温暖化についてメッセージを述べたことはユニークな場面でした。

それから三浦雄一郎さんは、大腿骨を骨折していながら他のイベントはキャンセルしつつもこのイベントには来てくださって、すごくおもしろいお話をしてくださりました。あの年齢で「骨密度が20代、回復の速さは高校生並み」と医者に言われたらしいです笑。

以下、まじめなところで特に勉強になった部分を書いておきます。

1日目の日本の中期目標に関するパネルディスカッションでは、国の中期目標検討委員会の委員を務める国環研の西岡先生と慶応大の浜中先生が来ていました。

西岡先生の話の中では、今示されている6案は、産業構造(鉄鋼生産量、交通量、原子力発電量など)を現状維持した場合で計算しており、大胆な政策(排出量取引、環境税など)による産業構造の変化については考慮されていないということで、最も高い2020年で90年比-25%も不可能ではないということでした。進行役のCASAの早川さんが最後に、COP3の京都では、交渉の最後の最後で市民のメッセージが影響を与えて合意したことに触れ、内容のある合意が危ぶまれているCOP15へいかに世界のそして日本の市民社会が、地球益のメッセージを大きくしていけるかが重要だと言っていました。

2日目の分科会は、手伝いで分科会1「The CHANGE 2009~温暖化ガス削減の法作りへ、高野山から踏み出そう~」に参加しました。

枝廣淳子氏(環境ジャーナリスト)、 飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長) 、寺田達志(環境省地球環境局長) の3人のスピーカーの30分程度の基調講演と平田仁子氏

(MAKE the RULEキャンペーン事務局長)の進行によるQ&Aという内容でした。枝廣さんと飯田さんの話は非常に面白かったです。

枝廣さんは、

低炭素社会を作るために、以下のことなどを述べた。

・市民が会社や政治家の評価の時間軸を長くとること

上場企業は4半期の業績評価、政治家は次の選挙といった短期的な評価では、長期的に正しい決断をしても評価されない。そこをいかに市民が長くとれるかがカギ。

・システム思考をすること

温暖化防止のためにむやみにバイオ燃料を使うと、食料問題に影響を与える。ある行動をするとそれが様々な問題にどのように影響を与えるかを考え、総合的な判断ができるようにならなければならない。エコロジカルフットプリントの話も。

・きちんと情報を伝えれば分かってもらえる

産業界の出す情報はわざとネガティブな出し方になっていることが多いが、例えば太陽光発電の固定価格買取制度によって、電気代で各家庭100円だとか負担することになるが、それによってCO2排出が減る、エネルギー自給率が上がる、電気代の燃料調整費が減るなどきちんと情報を伝えると、一般の主婦でも多くの人がそれに同意するという調査結果を述べていた。

飯田さんは、

いつものように自然エネルギーを中心に以下のようなことを述べた。

・固定価格買取制度(FIT)の導入について経産省はメンツを捨てて実を取った

ドイツなど政策的優位性が明らかなFITの導入を経産省は頑なに阻止してきたが、ついに折れてFIT導入を二階大臣が2月に発表した。しかし、その根拠となる「エネルギー供給高度化法案」は骨抜きにされようとしている。

・実現を徹底していくことが大事

日本では政策が審議される過程で、経産省などのバイアスがかかり、ほとんど法律にならないか、なっても当初の内容が跡形もない役に立たないものになる。そのため、今地方でモデルとなるような事例を実現させて行っている。それによって、望ましい低炭素社会へのとっかかりを作ってゆくことを重要視している。例えば、銭湯が多いある地域で木質ペレットを地産地消するなど。

・今、原子力ルネッサンスというマスコミがあればそれは虚

金融危機とオバマの核不拡散の方針によって、やや盛り返しを見せていた原子力の新設の世界的な流れは、中国・インドの一部を除いて完全に消えた。

・自然エネルギー産業は自動車産業に近いうち肩を並べる

ものすごいスピードで伸びる太陽光など自然エネルギー産業は、近いうちに自動車産業に匹敵するまでに成長する。日本は、政策の失敗により完全に出遅れており、まさに瀬戸際に立たされている。

地方の熱きおっさんたち(おばはんも)が企画し、1年かけて作り上げたこのイベント。最後には、高野山から世界へ渾身の力を込めて放ったメッセージ「高野山アピール」が採択されました。是非ご一読を。

http://2050earth.org/

主催者の一人は言った。「温暖化が危険なレベルまで達してしまうのはもうほとんど避けられそうもないが、それでも何かせんではいられないやろ。なら精一杯やって『だから言うたやん』と言って死にたい」

地方で頑張っている方々と会えたことが今回のイベントで一番うれしいことでした。

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わかやま環境ネットワーク代表の重栖さんとMAKEtheRULEキャンペーン実行委員長のシロベエ

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参加者のみなさん

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