第31回風力エネルギー利用総合セミナー報告

第11回風力エネルギー利用総合セミナー報告

【足利工業大学について】

足利工業大学は自然エネルギーに非常に力を入れている大学です。学内には、風力、太陽光、バイオマスのトリプルハイブリッド発電機が設置されています。そこで足利工業大学総合研究センターが主催する風力エネルギーに関するセミナーに参加してきたので報告します。

【発表内容】

今回の発表で議論された議題は、主に以下の5つでした。

1.洋上風力発電

2.風力発電の現状報告、技術開発

3.風力発電に関する制度、政策

4.音響特性

5.鳥類の動向と風力発電

これらのトピックは風力発電にとって、非常に重要であることが見て取れます。

【印象に残ったテーマ】

前年に比べ、洋上風力発電に関する発表は非常に多くなっていました。世の中での関心の多さが感じられました。特に注目すべき情報として、以下の情報がありました。

1.2050年には風力発電で全電力の5%を賄う。(風力全体で2050年には10%、現在は1%未満)

2.洋上風力発電のポテンシャルは46万MW

3.水深30mを超える海域では、基礎部分の建設コストが急激に上昇する。さらに水深60mを超えると、より費用が増加する。

【今後の風力発電】

現在の水力が賄っている発電量を2050年には、風力でまかなおうという試算になっています。ネックになるのは、費用負担と送電の問題になります。欧州では、国際送電網の整備に向けて計画が進んでいるとの報告がありました。

今後、風力発電はさらに拡大が進むと考えられます。その牽引役を担うのは、ヨーロッパ、アメリカ、そして中国です。では、日本において風力発電はどんな位置付けになるのか。

【風力発電に期待されるもの】

1.まず、国内の風力発電メーカーにとっては日本市場で実績を作らなければ海外での展開は難しいと考えられるので、海外の大きな市場に進出するためのメーカーの第一歩が日本の風力発電開発となるでしょう。

2.次に政府の狙いとして、環境関連産業で50兆円の市場、そして雇用の受け皿としての位置付けが考えられます。今後、風力発電がどの程度ポテンシャルを持っているのか、雇用創出効果はどのくらいあるのか、詳細な情報が今、求められていると強く感じました。

3.エネルギー安全保障の面からは地産地消のエネルギー源として、日本のような島国には貴重な資源として風力が考えられます。今回のセミナーでは、沖縄波照間島で風力発電を全電力の50%を賄おう試みが進められています。現在は、約20%超を賄っている状態にあります。

【今後の研究に向けて】

現在、風力発電に関する情報は整備されきっておらず、産業統計を収集する社会制度設計や、経済調査が求められているとはっきり資料に書かれています。

まさに、研究室として取り組むテーマであり、修士論文に活かしていけるのではないかと感じたセミナーでした。具体的には、●雇用創出効果の経済調査●洋上風力発電の費用便益分析●風力発電全体のポテンシャルの測定などが考えられます。

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