PIVによる大気乱流の可視化・計測 〜ニューソフト!〜

平成19年10月19日 更新


これまでの実験では、流速場の解析に市販のソフトを使用してきました。しかし、このソフトでは下図に示すような、PIV特有のピークロッキングと呼ばれる誤差を十分に補正することができません。このピークロッキングは、デジタル画像から変位量をサブピクセルと呼ばれるピクセル以下のオーダーで求めたいときに、変位量が整数値に偏ってしまう現象です。サブピクセルの精度は相関関数の分布から求めるのですが、これまで使用してきた市販ソフトでは二次曲線補間を用いており、補間が不十分でした。また、計算速度を上げるために閾値が厳しく設定してありデータが取れなくなる点が多くなることや、誤ベクトルを削除するためのアルゴリズムが流れの変化が大きい本研究には適していないということもあり、私たち自身でPIV解析ソフトを作成してみることにしました。

            市販ソフトによる変位量の解析



次の図は、解析によって得られるベクトルがどのように変化したかを示したものです。



左の図が市販ソフトで解析したもので、右の図が今回作成したソフトで解析したものです。これまでよりも解析できている点が増えていることが分かります。

そして、これが新しいソフトでの変位量の分布を表した図です。使用しているデータは同じ場面ではありませんが、ピークロッキングがかなり改善されていることが分かります。

以上のことから、今後の解析には新しいソフトウェアを使用しようと考えていますが、これらの改善を達成するために計算時間を犠牲にしています。本研究では長時間の計測を必要としており、解析時間が膨大になるため、国内最速のスーパーコンピュータ『TSUBAME』の使用も検討しています。


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