都市における遮断蒸発の解明 −スケールモデルを用いた基礎実験−

 


平成18年8月18日 更新



1.背景

都市域の大気は意外に多くの水蒸気を含んでいることが知られています。水蒸気の動態を正確に把握することが、近年多発する都市の集中豪雨のメカニズムを解明する上でも重要となります。
水蒸気の供給源としては、例えば、海風による水蒸気の移流、ビル屋上に設置された冷却塔からの水蒸気発生、都市緑地・植生からの蒸散、降雨中・直後の地表面からの蒸発、などが挙げられます。
このうち、降雨中・直後の蒸発は「遮断蒸発」と言われていますが、これは定量的に明らかにされていません。
森林における研究では、この遮断蒸発は年間降雨量の30%以上をも占めることが知られており、水収支式(降雨=蒸発+貯留+流出)において大きなを比率を占めていることになります。したがって、都市域においても、この「遮断蒸発量」を精度よく確かめる必要があります。

そこで本研究室では、都市スケールモデルサイトを用いて、「遮断蒸発量」を定性的・定量的に把握する実験を行っています。



2.遮断蒸発の定量把握









3.研究の進捗状況と今後の展望

現在サイトの漏水チェックなどが終了し、様々な降雨イベントにおけるデータを収集中です。
また遮断蒸発の鍵をにぎるプロセスとして「飛沫蒸発」(雨滴が地物に衝突して飛沫化し、それから蒸発する現象)が重要であるという仮説(Murakami 2006)があります。これを検証するために、飛沫量をカウントするセンサーを開発し、飛沫フラックスの計測も行うことを準備中です。
今後の進展をお楽しみに。


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