神宮の森プロジェクト 

期間 1996年8月および1997年8月集中観測

目的 日本の誇る大規模都市公園「神宮の森」の環境機能を計る

 

 神宮の森は100年後の東京を想定し、日本の造園技術を結集して作られた人工森である。渋谷・原宿・新宿副都心に挟まれた、まさに、都会のオアシスである。神宮の森がどの程度都会の気候を緩和しているのか、潤いを与えているのか、大気汚染を浄化してくれるのか、その効果を定量化すべく、観測に臨んだ。社務所から許可をいただいた集中観測期間は各年一週間である。このプロジェクトは、限られた時間との戦いであった。

 

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飛び道具1 電気式高所作業車

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環境計測に使う動力源で環境を汚してはいけないという訳で、ガソリンではなく電気仕様の高所作業車を森の中央に導入させていただいた。写真はアームを延ばし、PCや計測器を積んだゴンドラが森の上空へと到達した瞬間である(地上約30m)。熱・水蒸気・CO2・フィトンチッドなどが、森から都市の大気へ向けてどれだけ移動しているのかを計測するのに絶大な威力を発揮した。準備に準備を重ね、さー、スタンバイとなった瞬間、いきなりバッテリーがあがった時には皆さすがにへこんだが、なんとかこれを乗り切り貴重なデータを得た!

 

飛び道具2 ポロメータ

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これは手動で植物の葉の気孔の開き具合や蒸散量を計る農業用計測装置である。神聖な森の木を傷つけないよう細心の注意が払われた。森の木の多くは午前中活発に開き、午後から閉じていくことがわかった。極暑の中、ゴンドラに乗って一日計り続けた。

 

飛び道具3 サーモグラフィー

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すっかりお茶の間でもおなじみになったサーモグラフィー、もはや飛び道具とは呼べないかもしれない。写真は、ゴンドラの上から新宿副都心を撮影したものである。ビル群に対して冷涼な森の姿が一目瞭然である。

 

飛び道具4 スキャニングレーザーレーダー

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写真は神宮の森に隣接する青少年センター屋上に設置させていただいたレーザーレーダーである。これはコンピューター制御で自動的にスキャニング(首を振る)しながら、神宮の森や新宿上空の浮遊物質の濃度の測定に使用された。レーザー光線が大気中の塵などによって散乱されることを利用して、大気中の浮遊物質の3次元画像が得られる。非常に強力な装置なのだが、雨と熱に弱いため、人が昼夜を問わず付きっきりで冷風を送ったりして結構手がかかりました。

 

飛び道具5 無人計測用飛行船

なぜか写真が見つからず現在捜索中。飛行船は計測器を積んで、神宮や周辺都市上空の大気観測を行った。事前に警察などへは連絡してあったものの、代々木公園でスタンバイする飛行船に野次馬が集まり大変でした。