2025/3/7

研究紹介④



 こんにちは!Webマネージャーの藤巻です。
 今回は、平出さんに研究について書いていただきました!


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今回は、私の研究について紹介したいと思います。
少々長くなるとは思いますが、どうか最後までお付き合いください。

早速ですが、私の研究テーマは、ズバリ「風力発電」です。 ただし、一口に風力発電といっても、皆さんが想像するような臨海部や山間部に見られる大規模なものではありません。 都市部の乱流によるエネルギーを利用した小規模な風力発電です。
まさに都市気象に強い神田研ならではのテーマだと思います。

では、具体的にどのような研究をしているのか、ざっくりご紹介します。本研究のポイントは以下の2点です。 1 都市部の風に対し、回路内の負荷抵抗をどのように制御すれば、発電量を最大化できるか 2 乱流(平均風速からのズレ)によるエネルギーが発電量にどれだけ寄与しているか
ここで、1番目のポイントについては、前提として電気回路的な話で、せっかく都市気象に興味を持って記事を開いてくださった皆さんにとっては退屈だと思うので割愛します(研究的には結構大変だったのですが…)

まあそれはさておき、2番目のポイントについて紹介していきましょう。

本研究では、実際の観測を通じて、発電特性を評価しています。
まずは、観測のようすをご覧ください。
観測場所は、神田研のある石川台4号館の屋上です。 下の写真が観測機器です。左側に映っているのが小型風力タービンです。
ちなみに「風小僧(kaze kozo)」といいます。そして右側に映っているのが風速計です。


↑観測機器
この「風小僧」から出力される電圧および電圧、それと風速を測定し、これらの測定結果から平均風速と出力電力(=出力電流×出力電圧)の関係を調べます。
ところで、この研究のポイントの一つは「乱流」でした。

都市部の風というのは、臨海部や山間部と比べて時間スケールが小さく、時々刻々と変動するという特徴があります。
そのため、平均風速からのズレが大きく、その分だけ乱流運動エネルギー(TKE : Turbulent Kinetic Energyといいます。)が大きくなります。

したがって、このTKEが発電量にどれくらい影響を及ぼすかも重要になってくるわけです。
観測結果から風速が大きいほど発電量が大きくなることはもちろん、同じ風速でもTKEが大きいほど発電量が大きくなることがわかりました。

さらに、屋外の自然風と屋内でのサーキュレーターによる風(定常風なのでTKEはほぼ0です)で比較すると、自然風の方が発電量が大きくなることもわかりました。都市部では、高層建築物の影響で、地表付近の摩擦が大きくなり、風速が小さくなりやすく、一見すると風力発電には適していないように思われがちですが、むしろ乱流のおかげで発電量が大きくなるのです。

……はい、というわけで以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
時間の都合上、今回はかなり簡単に紹介したので、不明な点や疑問点がたくさんあることかと思います。 もし興味がありましたら、ぜひ研究室見学にいらしてください。 いつでもお待ちしております。


by HIRADE