熱電対を用いた温度の多点計測@COSMO 第二報稲垣 2009年10月30日更新)


 

キャノピー層における乱流変動の空間分布特性を把握することは本研究目的の一つであるが、点計測により乱流変動の空間分布を測定するにはプローブの数を増やすだけでなく、それらが全て同期されていなくてはならない。そこで今回は2台のデータロガーを利用し、観測した信号の波形から2つのロガー間の同期を取る方法を試みた。(これにより観測点数をとめどなく増やすという計画)

使用したロガーはTEAC LX10とCampbell CR9000Xで、前者には超音波風速計(Kaijo DA600 (TR90AH))を、後者には熱電対(Type-E φ=0.025mm)を接続し、両者による温度変動の波形を比較した。両方とも熱電対にしなかったのは、LX10で熱電対温度が計測できないためである。サンプリング周期は共に50Hzとした。超音波風速計のプローブと熱電対は5cm離して設置した。



超音波風速計と熱電対で観測された温度変動の相互相関係数。タイムラグが-35.68秒の所で相関係数に明確なピークが現れた(相関係数0.97)。



超音波風速計と熱電対で観測された温度変動。相互相関より得えられたタイムラグを補正すると、両者の波形は大方一致した。ただ、完全な同期ではないため、データの解釈や使用方法など要検討である。

風速計と熱電対の波形で同期をとる際に注意したいのは、熱電対が持つ熱慣性により、空気温度変動に対する応答が遅れることである。そのため細線の補償導線を用いる必要がある。今回は径0.025mmのものを用いた。これより細いと手作業での溶接が難しくなってくると考えられる。筆者にとっては径0.025mmでも十分困難でした。

(第三報へ続く)



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