2009/5/22

サーモカメラで見た都市の熱環境
 土木工学科の2年生が履修する「環境計画演習」の準備のため、サーモカメラのテストをしました。
 緑地が涼しいことを確認するために、洗足池の緑地帯とその周辺の都市域の温度差を撮影して見ました。
 今週はその様子について紹介します。
上の写真は使用する機器です。左が本体、右がカメラ(with 稲垣さん)です。
ちょっと古いので相当な重量があり起動も遅いのが難点ですが、まだまだ現役です。

さて、サーモカメラ(赤外サーモグラフィ)の仕組みを簡単に確認しておきたいと思います。
絶対0℃でない物体は温度と射出率によって放射を出しており、それをカメラで検出し、
ステファンボルツマンの法則やプランクの法則を利用して、温度に換算する、
ということをしているのがサーモカメラです。
詳しいカメラのメカニズムは現在勉強中です。

ではさっそく撮影画像を見てみましょう!!

左が通常のカメラで写した写真、右がサーモカメラで撮影した写真です。
手前が住宅地、中ほどに洗足池の緑地帯があり、その奥にマンション群が見えているという構図です。
撮影時間は14時くらい。気温は約20℃でした。

サーモカメラの写真を見ると、住宅の屋根は30℃以上とかなりの高温になっていることがわかります。
家の壁面が比較的低温になっているのは、撮影している方角が”東”であることが影響していると思います。
まだ日射があたって時間が経っていないのが原因だと思います。

一方洗足池(緑地)の温度は18〜20℃です。すずしいです。
蒸散によって、潜熱として熱を逃がしているからなのでしょう。

都市の温熱環境緩和に、緑地が不可欠であることがこのことから容易に分かります。

おもしろいことに、雲もサーモカメラに写っています。層積雲でしょうか。
雲を構成する微小な水滴が放射を吸収し、温度を持っているということが確認できました。
たいだい2℃〜5℃といったところでしょうか。
雲まできれいに写ることにびっくりしました。
この写真は、隣の建物にある緑化箇所です。
緑化箇所と、それ以外の場所では表面温度が、3℃以上、大きいところでは10℃近く違います。
屋上の緑化の効果に対していまいち納得していなかったのですが、
この結果を見ると、建物内部に対しても、大気に対しても屋上緑化は有益なことが分かりました。

私が現在住んでいる部屋は、マンションの最上階(2階ですが)で夏大変暑くなります。
屋根面を緑化してもらえると、電気代の面でも助かるのに、と切実に思いました。

以下はおまけです。
いや〜おもしろいですね。

by 小林(修士2年)


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