修士1年の山下です.
私はスーパーコンピューターTSUBAMEを使った大規模領域での大気境界層LES(Large Eddy Simulation) を行っています.
大気境界層(地表面から約1km)の範囲の風は殆どが乱流ですが,この乱流には組織的な構造があるということが広く知られています.神田研究室ではCOSMOの実験により都市での乱流構造の研究が行われています.これを数値シミュレーションでも行うことで,乱流構造のより詳細な様子を把握しよういうのが本研究の目的になっています.卒論では乱流統計量と乱流組織構造について考察しました.
今回はこの中から乱流構造に関する結果を少し紹介します.
計算領域は2.56km×2.56km×2kmで,地衡風15mを設定しています.
建物群は1辺40mの立方体を整列配置しました.
xy断面での風速変動の分布を見てみましょう.
左が地表面から80m(建物高さの2倍),右が地表面から160m(建物高さの4倍)での主流方向の風速変動成分の分布を示したものです.
低い位置では細かいストリーク(低速部分)が見えていますが,右では大きなストリークしか見えていません.
これをxz断面で見てみると以下のようになります.
高いところでは大きな対流が起こっていて,建物の上付近では小さな構造が出来ている様子が見えます.
中間の部分では建物より大きな構造が見えており,これは構造物群によって引き起こされたものであると考えられます.
現在はこのデータをいろいろな方法で可視化することでより深く考察しています.面白い可視化結果が出来次第また紹介します!