研究室の温度変化 (2008年5月16日)



今回は、一日の研究室の温度変化を紹介したいと思います。

観測日は2008514日〜15日、観測にはグローブサーモメーター(柴田科学機器工業製)を使用しました。今回は温度計の代わりに熱電対Type-T(-コンスタンタン)を使用し、データロガーはCampbell Scientific社のCR10Xを使用しました。1Hzでサンプリングを行い、1分間の平均値を出力させました。キャリブレーションが目的だったので、3セットを用い、その3セットから得られた平均温度を今回紹介したいと思います。

観測場所は、神田研究室の共有スペースにあるロッカーの中です。共有スペースでは普段輪講やゼミといった研究室内の行事のほか、学生たちの昼食スペースでもあります。

はじめに研究室内の温度に影響を与えると思われる、研究室の使用状況の変化を以下に示します。

表1 研究室使用状況
5月14日 5月15日
8時頃 学生が来る 0時頃 学生がすべて帰る
12時〜13時頃 昼食 7時半 学生が来る
  9時〜10時半 輪講
  12時〜13時 昼食

1に両日の温度の変化を示します。


                  図1研究室内の温度の変化

まず、両日の朝に注目してください。温度が上昇し始める時間帯と、学生が来た時間帯がほとんど一致していることが分かります。比較のために、両日の東京大手町における気温の変化のグラフを図2に示します。(気象庁より)


            図2 気象庁による東京大手町の気温変化

2より、図1朝における気温の変曲点は気温によるものでないことが明らかになります。よって研究室内の温度は、人が活動をし始めることで上昇を始めるということができると思います。ここで注目すべきことは、はじめに来る学生はもちろん一人ということですから、いかに一人の人間が多くの熱を消費しているかということです。

1において続いて見られるのは、515日の9~10時半にかけて研究室内の温度が急激に上昇している様子です。表1より、この時間帯は輪講を行っている時間に対応することが分かります。輪講ではすべての学生が共有スペースに集合します(先生を含めて14)が、14人も集まると室温に対して莫大なインパクトを与えることが示されました。よく人が集まると暑い、といったことが経験されますが、この観測によってその現象が確認できました。これについては、おもしろいデータがあるので、後に示します。

12時ごろになると両日ともに温度上昇の傾きが大きくなります。昼食の時間帯です。みなさんがよくご飯を食べてよく排熱していることがわかります。

午後になると研究室の温度環境はだいたい一定になっていくようです。図1と図2を比べてみてください。515日は午後に外気温が下がっていっているにも関わらず、研究室内の気温はほぼ一定になっています。一般的な外気温の変化は午後2時くらいを境に減少に転じるものと思われますから、普段の研究室内の気温は午後は一定に保たれるということになるでしょう。一方514日は、研究室内の気温は上昇を続けています。外気温は一定です。これは何を示すでしょうか。515日の事実を合わせて考えると、午後になると研究室のみなさんのエンジンが全開になってくるということを示しているんだと思います。

さて、最後におもしろいグラフをお見せします。


                        図3 5月9日の温度変化

59日の研究室の温度の変化です。この日は17時〜18時半までプレ輪講(輪講の予習会)、20時頃〜25時頃まで仲吉さんの誕生日会が共有スペースでありました。22時ごろからちらほら人が帰り始めましたが…

いや〜、人間の排熱ってすごいんですね。



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