神田研用語英日対訳表

最終更新日:2005年7月20日
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English 品詞 日本語 説明
A
absorption N吸収 放射現象で入射した電磁波は一部が反射され、残りが吸収される。
active scalar Nアクティブスカラー 方向性を持たないが、それ自身で運動を生じる状態量。熱が相当し、大気不安定のときは場に風がなくても対流が生じる。⇔ パッシブスカラー
adiabatic A断熱的な ある気塊に対して熱のやり取りを行わないこと。
adiabatic process A断熱過程 ある気塊に対して熱のやり取りを行わない過程。
adiabatic lapse rate N断熱減率 気塊を断熱的に単位高さ持ち上げたときのその気塊の温度の減分。
advection N移流 対象としているところでの変化でなく、対象としているところの外から影響が流れてくること。
air N空気 ---
air density N空気密度 ---
albedo N反射率、アルベド 下向き短波放射に対する上向き短波放射の割合。
American Meteorological Society (AMS) Nアメリカ気象学会 ---
amplitude N振幅 平均風速からのずれをさすのによく使う。
anabatic wind N斜面上昇流 山谷風で日の出後に盆地から山に吹く風。cf. 山谷風、⇔ 斜面下降流
anthropogenic heat N人工排熱 冷暖房の使用や自動車利用に伴い、発生する熱。都市のように人口過密地帯では気象に影響を与えると考えられている。
anthropogenic vapor N人工水蒸気 水冷式冷房の使用や自動車利用に伴い、発生する水蒸気。水蒸気は降雨など気候に大きな影響を与えるため、人工的に発生する水蒸気の影響も小さくない。
Atmos Nアトモス 神田研のファイルサーバの一つ。OSはRed Hat Linux 8.0。
atmosphere N大気、気圏 ---
atmospheric boundary layer N大気境界層 対流圏の中で地表面に近い層。ずっと高いところの風速は高さによらず一定だが、地表面は風速ゼロの境界条件なので、地表面近くでは強い風速勾配が発生する。大気の構造参照。
N ---
B
backscatter N後方散乱 光や電波が物体に当たって進行方向と逆向きに散乱すること。レーダーはこれを原理としている。
basin N盆地 ---
bio-meteorology N生気象学 ---
boundary layer N境界層 平板などの上で大きな速度勾配を持つ層。平板表面では流速ゼロ、境界層より上では流速は高さ方向に一定となる。温度勾配であれば熱境界層、濃度勾配であれば濃度境界層と呼ぶ。
Boundary Layer Meteorology (BLM) N--- 国際学会誌の一つ。卒論・修論の成果をよく出す。
bulk Richardson number Nバルク・リチャードソン数 大気の安定度を示す無次元数。地表面と代表高さの間全体の安定度を示す。Rb = (gz/T) × (θ - θs)/U2g:重力加速度、z:代表高さ、T:温度、θ:代表高さの温位、θs:地表面の温位) cf. リチャードソン数フラックス・リチャードソン数
bulk transfer coefficient Nバルク輸送係数 異なる高さの2点でのパラメータとその2点間の平均水平風速から、フラックス量を推定する方法(バルク法)で必要になる係数。"bulk"は大部分とか大半という意味。
buoyancy N浮力 流体塊の密度が異なるために働く力。上向きを正の浮力、下向きを負の浮力という。
N ---
C
calibration N較正、キャリブレーション 測定機器が正しい値を示すように機器あるいはデータを直すこと。
canopy layer Nキャノピー層 地表面上の建物・樹木の高さより低い層。モニン-オブコフ相似則が成り立たない。大気の構造参照。なお、むりやり「天蓋層」とは訳さない。cf. 都市キャノピー層植生キャノピー層
capping inversion N逆転層 inversionと同じ。
catchment N集水域 ---
ceilometer Nシーロメーター 上方に電波を放射して帰ってくるまでの時間から雲底の高さを知るための機械。
Clausius-Clapeyron equation Nクラペイロン-クラウジウスの式 飽和水蒸気圧の理論式。二相間が平衡であるとき、化学ポテンシャルが等しいことから導く。導出過程:clap-clau_eq.pdf[PDF]
climate N気候 ---
climatology N気候学 ---
closed cell N閉細胞、クローズドセル 中心に上昇気流の領域があり、それを囲むように下降流域があるパターン。水蒸気の影響がないと発生しないらしい。
cloud N ---
cold-air pool N冷気湖 夜の盆地などに形成される冷たい空気の安定層。cf. 山谷風
computation fluid dynamics (CFD) N数値流体力学 流体の現象を数値計算で解く学問。単にNavier-Stokes方程式を解くと言ってもMAC法とか渦度流れ関数法とかがある。研究としては乱流をパラメータ化して解くLESや、構造物の動きと周囲の流体の流れの連成運動を数値計算で解くなどがある。
concentration N濃度 辞書引くと最初に「集中」と出るが、「濃度」と訳すとしっくり来ることが多い。
condensation N凝結 ---
constant flux layer Nコンスタントフラックス層 接地層の中でフラックスが鉛直方向に変わらない層。モニン-オブコフ相似則が成り立つ。大気の構造参照。
convective boundary layer N対流境界層 大気境界層のこと。対流圏の中でも、対流が強いからこう呼ぶのだと思う。
convective mixed layer N対流混合層 混合層のこと。
conduction N伝導 ---
convection N対流 ---
convergence N収束 風が集まってくること。上昇流が起きやすい。⇔ divergence
convergence line N収束線 線状になった収束域のこと。
N ---
D
Degital Elevation Model (DEM) N数値標高モデル デジタル化された地形図のこと。
dense A濃い、密な 植物の群生について使う。⇔ sparse
dew N ---
diffusion N拡散 分子拡散や乱流拡散を含めた拡散。
dimensionless height N無次元高度 高さzモニン-オブコフ長さLで割った高度。大気安定度の指標として使われることもある。ζ = z/L
dimensionless shear function N無次元シアー関数 中立時の運動量、熱、物質などの各フラックスと鉛直分布の関係を知るために導入された関数。
direct numerical simulation (DNS) N直接数値計算 最小の乱流渦まで直接計算する流体力学の数値解析法。cf. LES
dispersion N分散 単に拡散現象をさす場合もあるし、河川の深さ方向の物質拡散などをさすこともある。
displacement height Nゼロ面変位 障害物のある地表面上で風速の鉛直分布を考えたときに、修正した地表面の高さ。
dissipation N逸散 乱流の渦スケールが小さくなり、熱エネルギーに変化すること。cf. 乱流スペクトル
diurnal A一日の、昼間の ---
divergence N発散 上昇流を探す際、Div = du/dx + dv/dyとして使われることもある。⇔ convergence
dominant A支配的な、卓越した スペクトル見るときにある周波数をさしてよく使う言葉。「卓越している」というとなんとなく専門家っぽい。
doppler sonic radar (SODAR) Nソーダー 音波を用いたレーダー。
drag coefficient N抵抗係数 風速と風のシアーの強さを関係づける係数。τ=CDU2
drainage network N下水道 ---
dry A乾いた ---
dry adiabatic lapse rate N乾燥断熱減率 水蒸気が飽和していない空気塊が断熱的に単位高さ上昇するときの気塊の温度の減分。
E
east N東面 都市キャノピーの東側。
eddy N ---
eddy correlation method N渦相関法 鉛直風速の乱れと水平風速、気温、水蒸気の乱れからフラックスを測る方法。10Hzほどでデータをとれる計測器が必要になる。
ejection Nイジェクション 水平風速と鉛直風速などの相関図(4象限解析)でキャノピー層から出て行く流れ。⇔ sweep
Ekman layer Nエクマン層 風が地表面摩擦の影響を受ける層。
Ekman spiral Nエクマンらせん 風は地表面摩擦を受けて鉛直方向に風向が回転するので、そのらせんのこと。
electric balance N電子天秤 連続的に重量を測る天秤。地表面の物体が水蒸気を失っていくのを測り、潜熱量を推定するのに用いる。
emissivity N射出率 黒体と実際の物体との放射量の比。
emit V排出する ---
energy residual method Nエネルギー残差法、エネルギー収支法 晴天日の続く日を選んで潜熱ゼロを仮定し、放射収支地中熱伝導から顕熱を推定する方法。
ensemble average Nアンサンブル平均 (1)平均的な日変動などを見るために一連のデータを各時刻(0時,1時,2時,...)で平均すること。(2)乱流統計量を知るため、30分程度で平均すること。あんまり平均時間が短いと乱れが目立って平均にならないし、長いと日周期なども乱れとして扱うことになってしまう。
entrainment N連行、巻き込み 地表面から上昇して来たサーマルなどが自由大気と混ざること。
entrainment zone N連行層、エントレインメントゾーン 大気境界層内で上部に位置する層。地表面から上昇して来たサーマルなどが自由大気と混ざる層。大気の構造参照。
equation of state N状態方程式 気体の圧力、体積、温度の関係を示した式。
evaporation N蒸発(量) ---
evapotranspiration N蒸発散(量) 蒸発と蒸散を合わせた言葉。
explicit A明白な、陽的な ある数式でa = (aを含まない式)で表現できることをさすときがある。⇔ 陰的な
N ---
F
fetch Nフェッチ 内部境界層が発達するまでの水平距離。
the first law of thermodynamics N熱力学の第一法則 ある気塊に与えた熱量はその気体の内部エネルギーと体積変化(仕事)に使われるという法則。
fish eye lense N魚眼レンズ 見ている方向の半球全体を捉えるレンズ。地表面に真上に向けて置くと真上から地平線全体まで見ることができる。魚はこういう風に世界を見ているからそういう名前がついているらしい。cf. 天空率, 形態係数
floor N床、床面 都市キャノピーの床。
forcing N強制力、フォーシング 系の状態を左右する原因となる何らかのパラメータ。日射とか。
force-restore method N強制復元法、FR法 熱伝導方程式を解かずに土壌温度を簡単に見積もる数値解析の方法。
Fortran Nフォートラン プログラミング言語の一つ。神田研で最もよく使われるプログラミング言語。コンパイラにはGNU Fortran(g77), Salford FTN77, Compaq Visual Fortran, Intel Fortran Compiler(ifc)を使う。
free atmosphere N自由大気 大気境界層の上にある層。大気境界層に比べて乱れが少ない。大気の構造参照。
friction N摩擦 ---
friction velocity N摩擦速度 風のシアーの強さの指標。u*2=τ/ρで定義される。
friction temperature N摩擦温度 顕熱に関するシアー関数を定義するとき、無次元化のために導入される基準となる温度。
front N前線 ---
frontal area index Nフロンタルエリアインデックス 単位水平面あたりの鉛直面の面積。
frost N ---
flux Nフラックス 単位断面積を単位時間あたりに通過する量。
flux Richardson number Nフラックス・リチャードソン数 大気の安定度を示す無次元数。Rf = ζ / Φ M ζ:無次元高度Φ M:風速勾配の普遍関数) cf. リチャードソン数バルク・リチャードソン数
N ---
G
Geographical Information System N地理情報システム 土地利用や建物についての詳細なデジタル地図、もしくはそれを利用したシステム。
geostrophic wind N地衡風 気圧傾度力とコリオリ力が釣り合った風。
global A全球の 地球規模のスケール。
General Circulation Model (GCM) N大気大循環モデル 全球の気象モデルのこと。
gradient N勾配 ---
gradient Richardson number Nグラディエント・リチャードソン数 リチャードソン数に同じ。
gravity wave N重力波 密度の異なる2層間で重力と浮力によって起こる界面波のこと。決して相対論の話ではない。cf. mountain wave
ground flux N地中熱伝導 地表面から地中に抜けていく熱フラックス。cf. 熱収支
ground water N地下水 ---
N ---
H
heat balance N熱収支 地表面において正味放射顕熱潜熱地中熱伝導熱の貯留の5項目が釣りあうこと。
heat capacity N熱容量 ある物質の温度を単位温度差上げるのに必要な単位体積あたりの熱量。
heat conduction N熱伝導 熱の伝わり方の一つ。分子粘性によって伝わる。
heat convection N熱対流 熱の伝わり方の一つ。対流によって温度の高い流体が移動する。
heat plate N熱流板 ある断面を通過する熱量を測るための装置。板の両端の電圧差を用いるらしい。
high pressure N高気圧 低気圧
homogeneous A均質な、一様な inhomogeneous
horizontal A水平方向の vertical
hot spot Nホットスポット 地表面で他より温かいところ。サーマルがたちやすい。
humidity N湿気、湿度 ---
hydraulics N水理学 ---
hydrology N水文学 水の様態を調べる学問。「文」は文学の意味ではなく、模様という意味。天文学と一緒。具体的には地表面の水収支や流出解析を扱う。
hydrosphere N水圏 ---
hydrostatic approximation N静水圧近似 その点より上方で運動がなく、その空気塊の上面と下面にかかる圧力の差がその空気塊にかかる重力と等しいとする仮定。dp/dz = -ρg
hydrostatic equilibrium N静水圧平衡 その点より上方で運動がなく、その空気塊の上面と下面にかかる圧力の差がその空気塊にかかる重力と等しい状態。dp/dz = -ρg
N ---
I
imbalance Nインバランス 点計測から渦相関法によって得たフラックス値と場の平均値の差。
imbalance problem Nインバランス問題 点計測から渦相関法によって得たフラックス値と場の平均値が一致していない問題。乱れでなくサーマルのような局地循環に伴う輸送のためらしい。
inhomogeneous A非一様の、不均一の homogeneous
impervious A不透水の ---
implicit A陰的な ある数式で代数的にa = (aを含まない式)で表現できないこと。繰り返し計算で解くかグラフ上で線を引いて図式的に解く。キャノピー上の風速分布における摩擦速度粗度長さゼロ面変位など。⇔ 陽的な
infrared A赤外線の eに第一アクセントがくるので注意。
inertia N慣性 その状態をとどめようとする性質。
inertial A慣性の ---
inertial subrange N慣性小領域 乱流渦の大きさで大きな渦から小さな渦へとエネルギーを渡していく領域。スペクトルの傾きは-5/3乗となっている(コルモゴロフの-5/3乗則)。cf. 乱流スペクトル
inflection point N変曲点 風速の鉛直分布で変曲点があると、そこでシアーが最大になる。といっても変曲点不安定とシアー最大はどちらが原因でどちらが結果というわけではないらしい。
input variable N入力変数 数値計算で入力する変数。時刻とか。
intensity N強さ、強度 ---
internal boundary layer N内部境界層 接地境界層でも都市キャノピーと裸地では境界層の高さが異なってくる。それぞれの範囲での境界層のこと。
International Association for Urban Climate (IAUC) N国際都市気候学会 ---
International Conferences on Urban Climate (ICUC) N国際都市気候学会 数年に1度開かれる学会。最近はポーランドのICUC-5。
Introduction to Boundary Layer Meteorology N大気境界層入門 2001年ごろから2004年度まで輪講で読んでいた本。R.B.Stull著。
inversion N逆転層 温度勾配が正の層。強安定で層の上下のやり取りがほとんどない。capping inversionとも。
isotropic reflection N等方反射 入射角によらず、全方向に反射すること。cf. mirror reflection
iteration N繰り返し、反復計算 ---
N ---
J
Journal of Applied Meteorology (JAM) Nジャム 無理やり訳すと「応用気象学誌」か。普通、ジャムと呼ばれる。輪講の参考文献によく登場する。
K
katabatic wind N斜面下降流 山谷風で日没後に山から盆地に吹く風。cf. 山谷風、⇔斜面上昇流
kinematic A運動学的な (スカラー量)×(速度)で表される単位。熱なら[K m s-1]とか。
Kolmogorov's energy spectrum Nコルモゴロフの-5/3乗則 乱流スペクトル慣性小領域の傾きは-5/3乗になるという法則。次元解析により求めている。
L
laminar flow N層流 乱れがない流れ。インクを流してもほとんど拡散しない。レイノルズ数が臨界レイノルズ数に達していないときの流れ。⇔ 乱流
land surface parameter N地表面パラメータ 数値計算で設定するべき地表面の特徴を示した変数。アルベドとか。
landuse N土地利用 ---
large eddy simulation (LES) Nエルイーエス あるサイズ(サブグリッドスケール)以下の乱流をパラメータ化して解く流体の数値解析法。cf. DNS
leaf area index (LAI) N葉面積指数 単位体積あたりの葉面積を高さ方向に積分し、無次元化したもの。中緯度帯で6くらい、熱帯雨林で12-15くらい。cf. leaf area density
leaf area density (LAD) N葉面積密度 単位体積あたりの葉面積。cf. leaf area index
latent heat N潜熱 液体の蒸発、気体の凝結に起因する熱。温度変化を伴わない。cf. 熱収支、⇔ 顕熱
latent heat release N潜熱解放 ある空気塊が上昇したとき水蒸気が凝結し潜熱を出すこと。
light detection and ranging (LIDAR) Nライダー 光・レーザーを用いたレーダー
local A局所的な 場全体によるものでなく、その場所での、という意味。⇔ 総観場の
local circulation N局地循環 海陸風や山谷風など。
logger Nロガー 観測データを記録する装置。
log law N対数則 中立時の風、温位、水蒸気量の鉛直プロファイルの理論解。といってもプラントルの仮定などを含んでいる。
longwave radiation N長波放射 地球表面(雲含む)起因の放射。⇔ 短波放射
low pressure N低気圧 高気圧
N ---
M
mean wind N平均風 場全体に流れている風。乱れを考えない風。
mesoscale N,Aメソスケール(の)、中規模(の) 微気象より大きく、全球より小さい範囲をさす。
Meteor Nメテオロ 神田研のファイルサーバの一つ。最近使われてない。
meteorology N気象学 気象を扱う学問。
micro layer Nマイクロレイヤー 地表面1cmほどの粘性の卓越した層。温度などの強い勾配がある。例えば夏の日のアスファルト表面など。
micrometeorology N微気象学 葉面の境界層とかcmオーダー以下を扱う気象学。
mirror reflection N鏡の反射 入射角と反射角が等しいように幾何的に反射すること。cf. isotropic reflection
mixed layer N混合層、対流混合層 大気境界層内の真ん中に位置する。乱流が発達し、温位プロファイルが一定になる。大気の構造参照。
mixing N混合 乱流による混合をさすことが多い。
mixing ratio N混合比 乾燥空気の密度に対する水蒸気の密度の比。
moist A湿った ---
moisture N水蒸気 ---
MM5 Nエムエムファイブ メソスケール気象の非静水圧モデル。
molecular A分子の、分子粘性の 分子そのものの動きによる効果をさす。乱流拡散に比べて拡散の度合いが非常に小さく、粘性が高い。cf. turbulent
molecular diffusion N分子拡散 分子そのものの動きによって拡散すること。大気中では乱流拡散に比べてずっと小さい。cf. 乱流拡散
momentum N運動量 剛体の力学だと(質量)×(速度)だが、流体では(密度)×(速度)となる。ρuとか。
Monin-Obukhov length Nモニン-オブコフ長さ モニン-オブコフ相似則において無次元高度を導入する際に導入される長さの代表スケール。摩擦u*顕熱-u*T*=H/cpρ浮力g/Tを用いて長さの次元にしたもの。L=u*2/(k (g/T) T*)L>0のとき安定L=0のとき中立L<0のとき不安定
Monin-Obukhov similarity (MOS) Nモニン-オブコフ相似則 中立時の運動量、熱、物質などの各種鉛直分布がフラックスによって支配されているという考え方に基づく法則。風速や温度の代表スケールとして摩擦速度摩擦温度を導入し、無次元シアー関数を定義した上で、これを無次元高度の関数とした。次元解析的に求めており、無次元パラメータで式ができているので「相似則」なのだと思う。
mountain wave N山岳波 温度成層が山にかかっているときに風下側にできる重力波の一つ。
mountain wind N山谷風 盆地と山との間で吹く風。日の出後は斜面上昇流が、日没後は斜面下降流が生じる。
multi-reflection N多重反射 光や電磁波が複数の壁に当たってはねかえること。はねかえる回数が多いためエネルギーの吸収量が多い。
N ---
N
Navier Stokes equation Nナヴィエ-ストークスの式 流体力学の基礎方程式。応力と変形速度が比例関係にあるNewton流体について成り立つ。
neglect V無視する、ゼロとみなす 「ネグレクトする」を略し「ネグる」とも。
net radiation N正味放射 短波放射量長波放射量の総和。cf. 熱収支
neutral A中立な 温位の鉛直勾配がゼロのときこと。
nocturnal cooling N夜間冷却 夜間に地表面が長波放射を行い、地表面温度が下がること。cf. 放射冷却
nocturnal stable layer N夜間安定層 夜の地表面近くの安定層
north N北面 都市キャノピーの北側。
Normalized Difference Vegetation Index (NDVI) N植生指標 近赤外画像のデータと可視画像の赤のデータから植生がどのくらいあるかを示す指標。
Nusselt number Nヌセルト数 熱伝導で運ばれる熱量と熱対流で運ばれる熱量の比を示した無次元数。1より大きいと熱対流が発生している。Nu = (h L) / ah:単位面積を横切る熱伝達率、L:代表長さ、a:温度の分子拡散係数)
O
oasis effect Nオアシス効果 冷たく湿った地表面の上に暖かく乾いた空気が移流してくるときに、顕熱が下向き、潜熱が上向きになる現象。
obstacle N障害物 地表面の植生や建物など。
open cell N開細胞、オープンセル 中心に下降気流の領域があり、それを囲むように網目状の上昇流域があるパターン。
organized structure N組織構造 乱れがランダムでなく、サーマルのように組織になっている構造。
N ---
P
PArallelized Large-Eddy Simulation (LES) Model (PALM) Nパルム Hannover Universityで開発された並列化LESモデル。インバランス問題の数値計算に使用している。「パーム」でなく「パルム」と呼ぶのはドイツ語だからだろうか。
passive scalar Nパッシブスカラー 方向性を持たず、それ自身で運動を生じないような状態量。水蒸気や二酸化炭素など。⇔. アクティブスカラー
photosynthesis N光合成 ---
plant physiology N植物生理学 温度や二酸化炭素濃度によって光合成の速度や気孔開度がどう変わるかなどを調べる学問。
plume Nプルーム、プリューム 空気塊が熱を持って生じる上昇流のうち、組織だっておらず小さいもの。
pollution N汚染物質 ---
porous media N多孔体 植物キャノピー層では植生を多孔体とみなすことで各種プロファイルを求めることができる。
potential temperature N温位 標準気圧(1000hPa)までその気塊を断熱変化させたときの温度。
Prandtl number Nプラントル数 動粘性係数と温度の分子拡散係数の比。Pr = ν / aν:動粘性係数、a:温度の分子拡散係数)cf. シュミット数
precipitation N降雨(量)、降雪(量) ---
probe Nセンサー部 観測機器のうち何らかのパラメータを測る部分のこと。
profile N鉛直分布 辞書ひくと「側面」とか「横顔」とか出てくるけど、「温位のプロファイル」などというときは「鉛直分布」と訳すのがしっくりくると思う。
N ---
Q
quasi steady state N準定常状態 本当は定常ではないのだけれど、ほとんど定常状態とみなせる状態。
R
radiation N放射 熱の伝わり方の一つ。電磁波として伝わる。cf. 長波放射短波放射反射吸収
radiation budget N放射収支 ---
radiative A放射の ---
radiative cooling N放射冷却 地表面が長波放射を行い、地表面温度が下がること。
RAdio Detection And Ranging (RADAR) Nレーダー 電波を放射し、目標に当たって返って来るまでの時間から水蒸気などの空間分布を知る方法。cf. ライダーソーダー
Rayleigh number Nレイリー数 対流の起こりやすさを示す無次元数。限界レイリー数を越えると対流が始まる。Ra = (α g ΔT d3)/(ν a) α:体積膨張係数、g:重力加速度、ΔT:上面と下面の温度差、d:上面と下面の間の高さ、ν:動粘性係数、a:温度の分子拡散係数)
Regional Atmospheric Environment N地域大気環境 偶数年後期に神田先生が英語で行う大学院の講義の名前。大気境界層の気象学と地表面熱収支を扱う。
reference height N代表高さ バルク法などで場の代表とする高さ。
reflection N反射 放射現象で入射した電磁波は一部が反射され、残りが吸収される。
Regional Atmospheric Modeling System (RAMS) Nラムズ メソスケール気象を数値解析するプログラム。
residual layer N残留層 夜になって地表面加熱がなくなったあとの混合層のこと。
Reynolds equation Nレイノルズ方程式 Navier-Stokes方程式の流速に平均と乱れ成分を代入したときに生じる式。
Reynols number Nレイノルズ数 層流・乱流を区別する指標となる無次元数。Re = uL/ν u:流速、L:代表長さ、ν:動粘性係数)
Richardson number Nリチャードソン数 大気の安定度を示す無次元数。グラディエント・リチャードソン数とも。Ri = (g/T) (dΘ/dz) (dU/dz)-2 g:重力加速度、T:温度、Θ:温位、z:高さ、U:水平主流風速)cf. フラックス・リチャードソン数バルク・リチャードソン数
roof N屋根、屋根面 都市キャノピーの屋根。
roughness length N粗度、粗度長 風速の鉛直分布で対数則から推測される風速ゼロとなる高さのこと。
roughness sublayer Nラフネスサブレイヤー 接地層の中でキャノピー層より高く、コンスタントフラックス層より低い遷移層。大気の構造参照。
runoff N流出 ---
runoff coefficient N流出係数 その集水域に降った雨の流量のうち、流出した流量の割合。
N ---
S
scalar Nスカラー 方向性を持たない量。熱や水蒸気など。アクティブスカラーパッシブスカラーに分けられる。⇔ ベクトル
scatter V散乱させる ---
Schmidt number Nシュミット数 動粘性係数と濃度の分子拡散係数の比。Pr = ν / Dν:動粘性係数、D:濃度の分子拡散係数)cf. プラントル数
scintillometer Nシンチロメーター レーザーで乱流による屈折率の変動を捉え、あるレーザーパスを横切る風の乱れを測る機械。
see breeze N海陸風 陸は温まりやすく、海は温まりにくいために起こる風。海陸風フロントを生じることがある。
secondary circulation N二次循環 主流に対して直角方向などで起こる循環。
sensible heat N顕熱 気温差に起因する熱であり、温度の変化を伴う。cf. 熱収支、⇔ 潜熱
sewage N下水 ---
sewar N下水道 ---
shear Nせん断、シアー 詳しくはwind shearの項を参照。
shear function Nシアー関数 無次元シアー関数を参照。
shortwave radiation N短波放射 太陽起因の放射。⇔ 長波放射
similarity N相似則、相似性 ---
Simple Urban canopy Model for Mesoscale simulation (SUMM) N3次元簡易都市キャノピーモデル 都市キャノピーの多重散乱を含めた都市キャノピーモデル。普通は「サム」と呼ばれる。
simulation Nシミュレーション ---
sink N吸い込み source
sky view factor N天空率 ある点から見えている全体のうち、空の占めている割合。cf. 形態係数, 魚眼レンズ
solar elevation angle N太陽高度角 ---
solar intensity N太陽定数 太陽から地球に放射するエネルギー量で、1370W m-2
sonic anemometer N超音波風速計 10Hz以上の高周波で風速を計る機器。渦相関法に用いる。
SOund Detection And Ranging (SODAR) Nライダー 音波を用いたレーダー
source N発生源、湧き出し sink
south N南面 都市キャノピーの南側。
sparse Aまばらな、疎な 植物の群生について使う。⇔ dense
specific heat N比熱 ある物質の温度を単位温度差上げるのに必要な単位質量あたりの熱量。定圧、定積の2つがある。
specific humidity N比湿 湿潤空気の密度に対する水蒸気の密度の比。単位はg kg-1やkg kg-1が使われる。
spectrum Nスペクトル どの周期の振幅が卓越しているかを示したグラフ。風速などの生データにフーリエ変換をほどこし得られる。
stability N安定度 大気の安定度。温位の鉛直勾配から判断する。
stable A安定な 温位の鉛直勾配が負のときのこと。負の浮力が働くので大気が上下しないため安定と呼ぶ。
staggered N千鳥配置 障害物の置き方の一つ。風が直線的に通り抜けられないような置き方。
standard deviation N標準偏差 各時刻の観測値から平均値を引き、二乗したものを各時刻で足し算したもの。風速の乱れのばらつきなどを見る。
steady state N定常状態 cf. 準定常状態
Stefan-Boltzman's law Nステファンボルツマンの法則 黒体の放射する量はその物体の表面温度の4乗に比例するという法則。I=σT4cf. ステファンボルツマン定数
Stefan-Boltzman constant Nステファンボルツマン定数 ステファンボルツマンの法則の定数。σ=5.67 x 10-8 W m-2 K-4
stoma N気孔 植物の葉にある微小な穴。酸素、二酸化炭素、水蒸気の交換を行う。
storage N貯留 地中に残る水量・熱量について使う。1年くらいの長期間で平均すると、変化なしとして無視することができる。cf. 熱収支
stratify V成層化する ---
stratification N成層化、成層 温位勾配が負(安定)になると層を成す。温度成層。
stratosphere N成層圏 地表面から高さ11〜50kmくらいの温度成層を持つところ。大気の構造参照。
street canyon Nストリートキャニオン 建物の間にある通りの部分。渓谷(canyon)を模してそう言う。略してキャニオンとも。
stratopause N成層圏界面 成層圏の上端。高さ50kmくらい。
suburban A郊外の 言葉の通り「都市に準ずる」という意味だと思う。観測サイトにしている大田区久が原は海外の人に言わせると"urban area"ではなく"suburban area"らしい。cf. urban
surface N表面 地表面だけでなく海水面を含む。
surface layer N接地層、接地境界層 大気境界層の底面に位置し、地表面との水・熱・物質交換に大きな役割を果たす層。大気の構造参照。
sweep Nスウィープ 水平風速と鉛直風速などの相関図(4象限解析)でキャノピー層に入ってくる流れ。⇔ ejection
synoptic A総観場の 局所的でなく、場全体の、という意味。100kmくらいから10000kmくらいまでのスケールをさす。⇔ 局所的な
N ---
T
Taylor's hypothesis Nテイラーの仮説 場全体の流速に比べて流速の乱れ成分が小さいことから、ある乱流渦が観測点を通過する間、渦はその構造を変えないとする仮説。テイラーの凍結仮説とも。
temperature N温度 ---
thermal A熱の ---
Nサーマル
thermal inertia N熱慣性 ある物体に熱を与えてもすぐに温まらない性質。
thermal plume Nサーマルプリューム プリュームの集合として見たサーマル
thermocouple N熱電対 温度によって電気抵抗が異なる性質を用いた温度計のセンサー部。
threshold Nしきい値 ---
topography N地形、地形図 ---
transmission N透過 放射現象について使う。
transpiration N蒸散(量) 植物起因の蒸発。
transport V輸送する ---
tracer N追跡子、トレーサー ---
tropopause N対流圏界面 対流圏の上端。高さ11kmくらい。
troposphere N対流圏 高さ11kmくらいまでの鉛直方向の大気の流れが大きいところ。大気の構造参照。
turbulence N乱流、乱れ 流れの中で風速や温度などの小さな変動のこと。
turbulent A乱流の、乱れた、乱流拡散の 風速差熱対流による効果をさす。cf. molecular
turbulent diffusion N乱流拡散 風速差熱対流によって運動量や熱などが拡散すること。cf. 分子拡散
turbulent diffusivity N乱流拡散係数 乱流によって物質が拡散される現象を扱うときの拡散係数。
turbulent flow N乱流 乱れがある流れ。インクを流すと広く拡散する。レイノルズ数が臨界レイノルズ数を越えているときの流れ。⇔ 層流
turbulent kinetic energy (TKE) N乱流運動エネルギー 乱れの運動エネルギー。TKE = (u'2+v'2+w'2)/2
turbulent spectrum N乱流スペクトル 乱流について乱れの周期もしくは周波数を横軸にとり、縦軸にスペクトル強度をとったもの。風速データをFourier変換して得られる。乱流渦は概して大きなものが最初に発生し、次第にスケールを小さくしながら、最終的に熱に変換される。したがって、周期の大きな領域から乱流エネルギーの供給領域、慣性小領域、粘性逸散領域に分けられる。
N ---
U
unknown parameter N未知変数 数値計算で求めるべき変数。顕熱とか。
unstable A不安定な 温位の鉛直勾配が正のときのこと。下の暖かい空気が浮力を持って上昇するため不安定という。
urban A都市の cf. suburban
Urban Nアーバン 神田研のファイルサーバの一つ。実質的にAtmosと同一。
urban canopy layer N都市キャノピー層 主に建物で構成されたキャノピー層。cf. 植生キャノピー層
N ---
V
vapor N水蒸気 ---
vector Nベクトル 方向を持つ量。風速など。⇔ スカラー
vegetation N植生 木とか草とか。
vegetation canopy layer N植生キャノピー層 主に植生で構成されたキャノピー層。cf. 都市キャノピー層
vertical N鉛直方向の horizontal
view factor N形態係数 ある点から見えている全体のうち、注目しているものの占めている割合。cf. 天空率, 魚眼レンズ
virtual potential temperature N仮温位 水蒸気を加味した温位
virtual temperature N仮温度 水蒸気を加味した温度。
viscous A粘性のある ---
N ---
W
wake N後流 障害物の後ろの流れ。
waste water N下水 ---
waste water treatment plant (WWTP) N下水処理場 ---
water budget N水収支 ---
water table N地下水面、地下水位 ---
wavelength N波長 ---
west N西面 都市キャノピーの西側。
wetness parameter N湿り度 潜熱フラックスの発生という観点から、土壌がどれだけ湿っているかを示す指標。1.0のとき完全に湿潤、0.0のとき完全に乾燥しているとする。
wind N ---
wind shear N風のシアー 風向と直角方向に風速差があるために起こるせん断。鉛直面で風速差がある鉛直シアーと水平面で風速差がある水平シアーとがある。シアーに伴い、顕熱や水蒸気を輸送する。機械的作用による乱流を発生させる。cf. turbulent
wind speed N風速 ---
wind tunnel N風洞 ---
N ---
X
Y
Z

品詞の略称

N
名詞 noun
V
動詞 verb
A
形容詞 adjective

大気の構造

80km 熱圏 Thermosphere
中間圏 Mesosphere
50km
成層圏 Stratosphere
11km
対流圏 Troposphere 自由大気 Free Atmosphere
1km
大気境界層 Atmospheric Boundary Layer エントレインメントゾーン Entrainment Zone
混合層 Mixed Layer
接地層 Surface Layer Constant Flux Layer (CFL)
Roughness Sub Layer (RSL)
キャノピー層 Canopy Layer (CL)
地表面 surface

参考文献

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