文理融合の視点から書かれた環境文明論に関する名著紹介

開発システム工学科2年生科目に「開発概論B」という講義があり、ワシはオムニバス講義
の1回分(90分)だけ「アジアの環境問題」と題して以下のような講義を行っておる。

その内容は、環境工学(理系)と文明論(文系)を融合して、アジアの環境問題を捉える一
つの視点を与えようというものじゃ。その内容は、


アジアの自然環境と文化的特徴

   アジアモンスーン 季節性・多様性 循環・多元論の思想  忍従性・中庸性

アジアの自然災害と特徴

   高い災害ポテンシャル、急激な都市化と人口増、災害と貧困の悪循環

アジアの巨大都市とその特徴

巨大都市の成り立ち、都市環境問題の変遷、巨大都市の環境破綻のメカニズム


90分で話すには盛りだくさんじゃ。そこで、文理融合に視点から書かれた環境文明論の名著
をここに掲載することにした。興味のある人は参考にしてくだされ。他にも欧米人の書いた文
明論のベストセラーは数多くあるが、アジアの視点が完全に抜けておったり、イデオロギーで
ドロドロしておったりで、ワシにはつまらんかった


1,ジャレド ダイアモンド  

文理融合の視点から進化生物学者(理系)が書き下ろしたスケールの大きな環境文明論

(1)銃・病原菌・鉄〈上・下〉  草思社

(2)文明崩壊 〈上・下〉     草思社


2,川勝平太

 欧米中心の文明論に対して、世界の近代化にアジア(特に海洋を通じて)が果たしてきた役割
を再評価する画期的な文明論 

(1)文明の海洋史観 中央公論社

 


3,梅棹忠夫

 京都大学今西錦司(生態学)の流れをくむ生態文明論

(1)   文明の生態史観 中央公論社


4,
安田喜憲

 花粉分析などを駆使して「環境考古学」を創設した理系学者が展開する新しい文明論

(1)   文明の環境史観  中公叢書

(2)   気候と文明の盛衰 朝倉書店

 


5,鈴木秀夫

(1)森林の思考・砂漠の思考 NHKブックス


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