関連論文

高田潤一,花岡伸也:「工学と国際開発」の論点整理と今後の展望,国際開発研究,Vol.26, No.2, pp.1-5, 2017年11月.

花岡伸也,高田潤一:「工学と国際開発」に関する研究と実践 (III) ―研究部会の活動を通じて―,第26回全国大会報告論文集,pp.450-453,2015年11月.

高田潤一:「工学と国際開発」に関する研究と実践(II)-研究部会の活動を通じて-
国際開発学会,第15回春期大会報告論文集,2014年6月.

高田潤一:「工学と国際開発」に関する研究と実践 -研究部会の活動を通じて-
国際開発学会,第23回全国大会報告論文集,2012年12月.

2015年度活動報告書
高田潤一・花岡伸也(東京工業大学)
活動4年目で最終年度となる今年度は,「適正技術シンポジウム:工学と国際開発の融合に向けて」と題したシンポジウムを,東京工業大学の蔵前会館にて,2015年7月8日に開催した。
冒頭,当初講演予定であった会長の高橋氏からシンポジウムに寄せて頂いたメッセージを,代表の高田が代読した。講演では,まずJICAの内島氏から,JICAが実施している日本の中小企業の海外展開支援のスキームおよび事例について紹介があった。国内中小企業の製品・技術の海外展開と途上国の問題解決のマッチング支援が主目的であり,Win-Win関係の構築を期待するものである。その代表的な事例として,次にトロムソの浅尾氏より,タンザニアで展開しているもみ殻を原料とした固形燃料の製造機(グラインドミル)の開発事例について紹介された。JICA主催のアフリカ使節団参加が契機となったこと,現地の木炭製造過程との比較,製品モミガライトに対する現地住民からの不満と改良への取り組み,約1カ月前のNHK Worldでの放映後から世界から引き合いが来ている話など,非常に興味深い内容であった。最後に,APEXの田中氏より,適正技術の歴史と定義の解説に始まり,インドネシアで事業展開している排水処理技術の技術的特徴,低費用性,普及のための住民との会合等の実践内容,さらには適正技術の国際協力のあり方について話があった。APEXの排水処理技術は,日本水大賞・国際貢献賞を今年受賞するなど高く評価されており,また別のバイオマスエネルギー技術はSATREPS事業として取り組んでいることなど,適正技術の海外展開の最前線が紹介され,今後の科学技術の方向性についても考えさせられるものであった。質疑応答では,講演者に対する数々の質問だけでなく,田中氏からは適正技術の普及に関する大学への期待の表明などもあり,議論は多岐にわたった。東京工業大学国際開発工学科の学生も含め,計57名が参加したシンポジウムは大変盛況であり,成功裏に終えることができた。
(国際開発学会ニューズレター Vol.26, No.3(通刊第97号)より)

2014年度活動報告書
高田潤一・花岡伸也(東京工業大学)
活動3年目を迎えた今年度,本部会は計4回の研究会を開催した。今年度はJICA本部のご協力を得て,テレビ会議システムを用いて研究会に参加する機会を提供した。JICA本部からだけでなく他大学からのテレビ会議参加もあり,質疑応答も随時行った(4回の合計参加者数は会議室92名,テレビ会議40名)。今年度は毎回テーマを設定し,テーマに関する専門家を招いて「工学と国際開発」についてより深く切り込んだ議論を進めた。4回の研究会を通じて,結果的に常に議論となったのが「地域性」,「地産地消」,「実践」である。第1回で,渡辺氏は「適正技術は地産地消の経済」と明快に定義した。第2回の大杉氏の事例紹介は,地域の事情に基づく情報通信技術適用の実践事例であった。第3回の入江氏と石川氏の内容は「地域研究」として位置づけられるものであり,地域的特徴に工学的技術を取り込んで問題を解決する実践事例が紹介された。第4回の日野出氏と西田氏の事例では,地域にある材料を活用する地産地消技術の実践が紹介された。以上のように,工学からのアプローチにおいても,国際開発という研究分野の基礎的な枠組みは同じであることを確認できたのが今年度の成果である。
(国際開発学会ニューズレター Vol.25, No.4(通刊第94号)より)

2013年度活動報告書
高田潤一・花岡伸也(東京工業大学)
活動2年目となる本部会は,4月から7月まで計4回の会合を開催した。本部会のコアメンバーである東京工業大学国際開発工学専攻の教員から4名のほか,国際開発関連分野を専門としておられる3名の専門家から貴重なご講演をいただいた。どの講演でも白熱した議論が展開され,発表後のディスカッションだけで1時間を費やすこともあった。工学と国際開発という学際研究の「手法」について,様々な見解が出されたことが今年度の成果と言える。
(国際開発学会ニューズレター Vol.25, No.1(通刊第91号)より)